第204話 杖を使ってみよう

「じゃ、折角杖が完成したんだし杖で魔法を使ってみるか」


カノープスさんがそう言い出した事で多少大きな魔法を使っても問題のない、冒険者ギルドの訓練所へとやってきた。ここは基本的には冒険者なら無料で誰でも使用出来る場所なので毎日誰かしらは使用しているけど、今回は有料で一時間毎に貸し切りにも出来るのでカノープスさんと師匠は貸し切りにしたみたいだった。


私的には別に貸し切りにする必要はないんじゃないかと思ったんだけど、杖を使わなくても私の魔法は他の魔法使い達よりも魔法の威力が強いので杖を使った場合どれだけ強くなるかわからないので貸し切りにした方が無難だとかで貸し切りにしたんだとか。


そう言われてしまったら私としても反論は出来ないし、師匠達の言う通り、誰かに何かがあったら困るしね。


杖を使ってもちゃんとコントロールが出来るなら問題はないって事だし、まぁ最初は仕方ないだろう。私自身も正直自信がないし。


冒険者ギルドの受付で手続きをして地下にある訓練所へと向かう。この訓練所は四方を結界で覆っていて多少の魔法や戦闘では壊れないようになっている。多少の魔法と言っても、広範囲の魔法を使っても壊れはしないからそれなりに強度は凄いと思う。何でも結界石を四方に埋め込んで結界を維持してるとか?聞けばその結界石はカノープスさん直々に作成した物だから品質は確かなんだって師匠から聞いた。


さすが賢者様。


「じゃあ的に向かって先ずは杖なしで風魔法を」

「はい。ウィンドカッター!」


カノープスさんに指し示された25メートル程先にある的に向かって杖なしで風魔法を唱えると私の手から放たれた風魔法が正確に的に当たり、パァンと音を立てて霧散した。


「ほぉ......杖なしでそれだけの威力が出るなんて流石だな。前に見た時よりコントロールも上達してるし、流石シリウスだな。教えるのが上手い」

「そうか?それを難なくやってみせるリンの方が凄いと思うけどな」

「リンが凄いのはわかってるから問題ない。だがな、魔法使い見習いの中には素直に教えを受け取らない馬鹿も居るんだよ.....その点シリウスとリンの相性は良さそうだな」


へぇ~……教えて貰う立場の人間が教えてくれる相手に対して傍若無人な態度を取る魔法使いとかもいるんだな.....でもそうだよね。前世でもそんな人間沢山私の側にも居たもんねぇ......。


「じゃあ次に杖を使って同じ魔法を」

「はい!ウィンドカッター」


杖を取り出し的に向けて構えて魔法を打つ。込める魔力はさっきと同じぐらいで良いかな?


そう思いながら繰り出した風魔法はあり得ない程大きな渦を巻きながら的へとぶつかった。


......あり得ない音を立てて.....


......え~?



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