第203話 杖完成!

この世界の杖の作り方は至って簡単。

杖にしたい素材を置いて両手で自分の魔力を込めるだけらしい。その時にどんな杖にしたいかを頭の中に浮かべて自分の持てる魔力を全開に素材に注ぐのみ。


すると、あ~ら不思議。次の瞬間には希望通りの杖が手元に!


お店で販売されている杖はあくまで汎用品なので自分専用に作った杖には劣るのだそうだ。それでも宮廷魔導師みたいに魔法を職業にしていない人には充分なのでそれなりに売れるそうだ。謂わば護身用的な意味で。


そして、遂に出来た私だけの杖!


ベースはカノープスさんの杖に近いんだけど、長さが決定的に違う。カノープスさんの杖はザ・魔法使い!みたいに大きくて長いんだけど私のは使いやすさを重視して長さは短めにした。およそ四十センチぐらい。芯の部分と杖の上部にある玉の部分をアダマンタイトで形取り、それをすっぽりと覆うように世界樹の枝で杖の形を取っている。


玉の部分は球体ではなく星形。ひもでくくりつけている訳でもないのにしっかりと浮かんでいるのは不思議以外の何物でもない。


因みに玉の部分を星形にしたのはやっぱり某アニメの魔法少女シリーズが私の中で印象に残っていたのが原因だろう。どうせなら可愛い杖の方が使ってても楽しいもんね!


勿論、そんな事を知らない師匠とカノープスさんはどうしてこんな形にしたのかを凄く不思議がっていたのは言うまでもない。


後、杖にカラーリングが出来ると言われたので全体的に青色にした。紺に近い青色なので変に青々しくないし、私の銀髪や紫紺の瞳にも合うと思うんだよね。


「うん!私だけの杖って感じがする」


自分で作った杖は作った本人の魔力が登録されるので他人には使う事が出来ない。なので盗難に合うことは余程の事がなければないのだとか。その代わりに貴族が持つ汎用品の装飾品目的の杖は宝石が使われてたりするので盗まれたりする場合があるらしい。お金にけちらなければ盗難防止の魔法を掛けて貰えるらしいので掛ける貴族も多いのだとか。


お貴族様は大変だよね。


「俺も自分の杖を手にした時は感動したものだ」

「え!?カノープスさんでもですか?」


しみじみとそう言って完成した私の杖を見ながらカノープスさんがそう話す。イメージが湧かないんだけど!?


「まぁね。俺もそれだけ若かったし、やっぱり自分専用の杖と言うものは特別だからな」

「確かにな。俺も杖じゃないが、自分の稼いだ金で欲しかった剣を手に入れた時は嬉しかったからなぁ」


そんなカノープスさんを見て、師匠も昔を思い出しているのかウンウンと頷いている。


「へぇ~!」


師匠にもそんな可愛らしい時代があったんですね。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る