第199話 賢者の教え
宮廷魔導師の職を長期休暇を取得してエルフの国へとバカンスに来た師匠の友人でもあるカノープスさんは私が思っていたよりも自由人だった。
特に魔法に関する想像力が独特でいて、自由。
だからこそ賢者と言う地位にまで登り詰められるぐらいの魔法の使い手になったんじゃないかと思う。
「魔法の基礎はシリウスからしっかり学んだだろうから俺からは応用を教えよう。シリウスは弓や剣をメインに魔獣と対するけど魔法に関しても俺程とは言わないが宮廷魔導師になれるぐらいには魔法を使いこなしてるからなぁ。まぁ彼奴の場合はハイエルフって言う種族的な部分もあるけど」
「確かに師匠の魔法は凄かったです!剣に魔法を纏わせて魔獣を倒したりするんですよ!!」
修行中に何度か冒険者ギルドのギルドカード更新の為に依頼を受けて魔獣を討伐しに師匠と行ったけど、それはそれは見事な腕前で魔獣を倒していたのを間近で見ていたからその凄さは良くわかる。
「ああ、シリウスの得意技だな。昔からやってたよ」
「そうなんですか?」
「ああ。普通に剣で斬るより魔法がプラスされた分威力は段違いに上がるしなぁ.....ま、俺には出来ない技だな。俺は魔法特化型で剣なんかの武器は苦手だから冒険者活動してた頃は大抵後衛だった」
冒険者時代を思い出しているのか、カノープスさんが少しだけ懐かしそうな表情を浮かべたのが凄く印象的に見えた。
「.....じゃあ師匠は」
「当然前衛特化だった。リンはシリウスが鍛えたって事は前衛でも大丈夫なんだろう?」
「はい。師匠と同じで武器と魔法の両方を使えるように修行してましたよ」
お陰で弓も剣もそれなりに使いこなせるようになったし、魔法も以前より段違いに早く繰り出せるようになった。
「ただ師匠みたいに武器に魔法を纏わせて、なんてのは出来ませんけど」
「......それは単純にリンの持ってる武器の性能的な問題じゃないのか?シリウスの使っている武器は全て魔力の電導率が高いアダマンタイトで出来てるからなぁ……でもあれは買うと馬鹿高い上に入手ルートも少ないから、ミスリルぐらいならまだリンでも手に入るんじゃないか?」
ミスリルにアダマンタイト!!異世界ファンタジーには必ず出てくる鉱石系が来たね!?けど師匠の剣がアダマンタイトから出来てるとは知らなかったなぁ……凄いな。
「......アダマンタイトなんて良く手に入りましたよね?」
まず無理じゃない?
「ああ、偶然にな。昔冒険者時代に受けた依頼の途中でドラゴンと遭遇してなぁ.....巣を作ってた場所から偶然にもアダマンタイトが出てな!シリウス達と頑張って掘り出してそれぞれの武器にしたんだよ。因みに俺はこの杖に使ってるぞ?」
そう言ってカノープスさんは自分の杖を持ち上げた。
「.....へ、へぇ~……それは凄いですね.....」
突っ込みたい箇所がいくつかあるけど、余計に突っ込みどころ満載な話をされそうな気がして、私はそれ以上何も言わなかった。
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