第168話 師匠の友人
天気の良い日に公園で酒盛りなんて最高じゃない?社畜の如く働いていた日本での生活と比べたらあり得ない光景なんだけど。
「....エルフでも昼間からあんな風に酒盛りするんだ....」
どちらかと言えばそんな感想の方が大きいけど。どうも私の中のエルフのイメージが読んでたラノベの金髪で美形だけど無口で女性に興味がなくて清廉潔白ですよ~って感じに固定されてるから実際に今リアルタイムで見ている酒盛りしてるイメージが逆に違和感があると言うか....。まぁ現実はこんなものかもしれない。
「お前....エルフに夢見過ぎだぞ?」
「え~っと....ははは」
「エルフだって普通の人間みたいに酒は飲むし喧嘩もするし、柄の悪い奴だって居るんだぞ....まぁ犯罪に手を染めるまでの奴は早々居ないがな」
うん、想像出ないなぁ....もうこれは慣れて行くしかないもんね....確かにツンデレエルフも居るんだし、どんなエルフが居ても可笑しくはないよね。
そんな話を公園の横を通り過ぎながら話していると前方から何やら師匠を呼ぶ声がした。
「シリウス!帰ってたのか!!」
「ナシラ」
師匠に話し掛けながら近付いて来たのは金髪を長く伸ばして後ろで縛っている青年エルフ。ザ・エルフを体現している。見た感じは師匠と同年代ぐらいだけど正直エルフは見た目と年齢が一致しないからわからないんだよねぇ....。でも凄くフランクな感じに話してるし、親しい友人な感じがする。
「ギルドに寄ったらギルドマスターからお前が帰ってるって話を聞いてさ、街中をウロウロしてたら会えるかと思ってたんだ」
にぱっと笑みを浮かべるナシラさんと言うエルフはどうやら凄く人懐っこい感じの人らしい。
「何か俺に用でもあったのか?」
「いや?ギルドマスターからその時にお前が弟子を取ったって聞いてさ、会ってみたかっただけだ。あの弟子は取らないと言い張ってたお前が弟子にした子だろう?俺だけじゃなくて皆気になってるのさ!だから俺が代表してウロウロしてた訳だ」
「.....お前らな....」
呆れた声と表情でナシラさんを見る師匠を心の中で労る。居るよね、友人にこう言う性格の1人や2人。
「ん?」
師匠の背後からこっそりと様子を伺っていた私とナシラさんの視線が合った。
「おおっ!その子が噂の弟子か!可愛い子じゃないか!」
「.....いや、可愛さは弟子とは関係ないだろう?」
「何言ってんだ!成長して美女になった弟子に、師匠お帰りなさい♡、なんて家に帰った時に言われたら嬉しいだろうが!」
「「.........」」
.....えーっと.....
「.....師匠.....友人は選んだ方が良いと思いますよ?」
「.....奇遇だな。俺も今しみじみとそう思ったよ」
呆れた四つの視線に気が付つ事なくナシラさんはその自身の主張がどれ程素晴らしいかを私達に説明し続けた。
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