第167話 街の散策は続く
街の散策はまだまだ続く。が、歩いているとチラホラと微妙に視線を感じるんだけど....しかも女性の....。
これはあれだな。うん、十中八九師匠が原因だよね。
「.....師匠、気が付いてますよねぇ?」
「放っておけば良いんじゃないか?」
自分に向けられる女性からのお熱い視線に気がついていながら完全に無視するとは....相当慣れてるよね。まぁエルフに生まれた時点で生きてきた分だけ視線を受けて来たんだから慣れたもんなんだろうけど。しかも師匠はS級ランクの冒険者だし....その目立ち方は普通のエルフとは比べようもなかっただろう。
「まぁそれはそうなんですけど....少しも気になりません?あんなに熱心な視線を向けられて」
「....別な意味では気になるが....こう言った視線には生きて百年を過ぎた頃にはもう慣れたな。それこそ冒険者活動をメインにしてた頃には飽きるぐらい浴びてたからな....あ、嫌味じゃないぞ?」
「わかってますって。でも飽きるぐらいの異性からの視線って....それはそれで凄いですよね。エルフは同族同士でも綺麗って思うんですね」
そもそも視線を向けている女性のエルフ達も凄く美人な人ばかりだ。普段から自分の綺麗な顔を見ていてもまだ他の人を綺麗だと思う感性があったんだなぁ……。
「.....どうだろうな?俺はあまり容姿に拘るタイプじゃないからな.....美人でも性格が悪かったら最悪だろ?エルフの女性に限った事じゃないが、気位が高いだけの女性とお近づきになりたいなんて奴は極少数だろうな」
「.....へぇ~……」
師匠、それ子供の私と話す会話じゃないって事に多分気が付いてないよね。
私は苦笑を浮かべながら師匠から周囲の女性達へとチラッと視線を流す。師匠を見てる女性の殆どがエルフでたまに人間の女性も混ざっている。エルフと人間の間に生まれた子供か、商人に付いてきてこの国で働いている女性なのだろうか?
「師匠は御両親から結婚しろとか言われないんですか?政略結婚とか」
「ああ、ないな。基本的に俺の家....と言うか王族に政略結婚はない」
「え、そうなんですか?」
「ああ。そもそもエルフは長く生きる種族の反面子供が出来にくい種族なんだ。だから政略結婚させても子供が出来るとは限らない。なら自由に恋愛結婚させた方が良いと言う話でな。まぁ実際に恋愛結婚したエルフ達の方が子供が出来やすいのは統計的に結果が出てるのもある」
そうなのか....だから師匠もまだ結婚してないんだなぁ……結婚してても可笑しくない年齢だろうに。
「ま、俺はその方が自由に動き回れて有り難かったがな。政略結婚なんてさせられていたら、冒険者にもなってなかっただろう」
そうかー。ギルドマスターじゃなかった師匠か....。何だか想像つかないな。
曲がり角に差し掛かり右側に曲がれば公園、左側は露店商が軒を連ねる商店街になっている。
「この公園は住民の憩いの場になっていて、反対側に出ている露店で食べ物や飲み物を買って食べたりしているんだ」
「へぇ~!何だか楽しそうですね」
既に何組かのエルフ達が実際に露店で何やらお肉らしき物と明らかにアルコールらしき物を買って公園の芝生に座り込んで酒盛りをしていた。
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