第166話 街中の散策

本格的な修行は来週からになり、暫くは街中を歩き地理を覚える事になり屋敷で軽く昼食を取ってから私達は街に出た。ちなみに黎明は今は居ない。山の方の様子を見に行っている。四六時中山に居ないといけない訳ではなく、基本的に山と黎明は繋がっている為何か山に異変があれば直ぐにわかるのだそう。今回は特に何かあった訳ではないけど定期的に見に行く事にはしているらしい。


.....まぁ、黎明だったら翔んで直ぐに山に行けるから問題もないだろうし、まず普通の人には見えないらしいから.....


精霊と仲が良いと言われているエルフの人達はどうかな?と思ったけど見える人と見えない人半々ぐらいだと黎明は言っていた。子供のエルフの方が良く見えるとは言ってたけど....大人になるにつれて純粋だけじゃなくなるからかしら....?


でも師匠のご家族は皆して黎明が見えたからそれだけではないんだろうけど。その辺りは凄く興味深い事柄だった。



街に出て吃驚したのはミルトンまでとは言わないけどそれなりにエルフの国は街の規模が大きいと言う事。市場には屋台が沢山並び、人らしき商人や獣人まで種族様々な人達が行き来していた。


「驚いただろう?エルフの国には色んな国から色んな商人達が集まるから街はいつも賑やかなんだ」

「ほへ~……鎖国してる訳じゃないんだ....」

「ん?何だ、鎖国って」


ポツリと何とは無しに呟いた言葉を師匠が拾って聞いてくる。


「あ、いえ....えーっと....こう、他の国から他の種族を受け入れずに自分達だけで纏まっているとか....そんな感じ?」


どう説明したら解りやすいのか、考えすぎて逆に解りにくい説明をするも自分の言いたい事を何となく理解してくれたのか師匠は頷いた。


「ああ、そう言う一面もエルフにはある。それにこの国に入れるのはエルフから許可を貰った商人だけだから彼らは皆、誰かしらエルフの知人な訳だ」

「....じゃあ勝手に入ってきて商売は出来ないって事ですよね?例えば許可を貰った商人に付いてきて勝手にエルフの国で商売するとか?」

「エルフの国で商売をするエルフ以外の商人にはまず魔力を登録して貰うんだ。そして登録の無い者は商売が出来ないようになっているし、エルフの国に残れないようになっていて時間が経つと強制的にエルフの国から追い出される仕組みになっている。まぁそれはエルフの秘匿技術だから説明は出来ないがな」


時間が経つと国から自動的に追い出されるって凄い技術では?


「.....それは凄いですね....じゃあ商隊に潜り込んでエルフの国に入れたとしても魔力を登録していない人は追い出されるって事ですね....あ、だから私も入る時に魔力の登録をしたんですね!」

「そうだ。王公貴族関係無しにエルフ以外の人を国に入れる時には登録が必要になるんだ」

「成る程!」


じゃあ今街に居る人達は皆登録されて屋台や商店を出してるんだなぁ……。


「....もしかして私も商人として登録したらお店出せたりします?」

「そうだな、出せるぞ。でもその前に修行が先だな」


あー.....そうですよね.....。


でもそうか.....エルフの国でお店を出すのも良いかも知れない。元々ミルトンの自分の家も何れはお店に出来たらなぁって思ってたんだし。出す場所が人の国かエルフの国かの違いなだけで、私のやる事は変わらないんだ。


「.....そうですね。うん、修行頑張ってその後にゆっくり考えてみます!」


修行を終わらせた後に人の国がどうなってるかもわからないし、選択肢は色々あっても良いのかもしれない。


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