第153話 バレッタの街・4

カストルさんとの話を終わらせた私達は市場へと出掛ける。2週間の遠征で減った食材や調味料の補充や他に何かしらの役に立ちそうな品物がないかを確認する為だ。まぁ減ったと言っても元々無限収納に大量の食材や調味料は入れていたから大して減っていないのが現状なんだけど、この世界何があるかわからないから沢山持ってて損にはならないと思うんだよね。


買い物客や商人が行き交い賑わいを見せる市場を順番に見ていた回る。わからないものがあると師匠が教えてくれるので凄く助かっている。


「っと、手土産に酒を買って行かないとな」

「お酒ですか?」


丁度酒屋の前を通り掛かった時に師匠が突然思い出したかのように言い出した。


「ああ。エルフは皆酒が好きだからなぁ....まぁ一種のワイロみたいなものだ。酒さえ与えていれば大人しいからな」


.....いやそんな言い方.....


本気なのか冗談なのかわからないまま、師匠は酒を大量に買い占めてマジックバックへと収納した。


.....本当にあんなに飲むのかな....?


思わず呆れてしまいそうになるぐらいのお酒の量を横目に酒屋の中をキョロキョロする。


「あの、料理に使うお酒とかないですか?」

「ん?料理かい?料理に酒なんて使うのか?」

「え.....はい.....」


あれ?この世界の料理って、もしかして調味料としてお酒とか使わないのかな?いや、百歩譲って貴族が食べる料理には使ってると思いたい。


酒屋のおじさんに声を掛けてみるとうーんと少し考えてから何やら気がついたように棚の奥を探しだした。


「料理に使う酒ってのはないんだが...以前嬢ちゃんみたいに料理に使う酒はないかと聞いてきた料理人がいてな、そいつがこれを買ってたよ」


そう言って1本の少し小さめの瓶を手渡してくる。


「これは?」

「こいつは流れの商人が持ち込んだ物でもうこの1本しかないんだが、西の大陸で手に入れたとか言ってたな」

「へぇ.....」


でも料理人の人が買ったぐらいだから料理に使えるお酒ではあるよね?


「....じゃあこれ買います」


これぐらいならそんなに高くないし、まぁ使ってみるのも有だよね。お酒には違いないから駄目なら飲めば良いし。


「ん?何か買ったのか」

「はい。料理に使えそうなお酒を買ってみました!」

「へぇ。料理に酒なんて入れるのか....初めて聞いたな」


師匠が不思議そうに私を見てくる。


「入れるって言っても調味料として使うので少量だから入っててもわからないんじゃないですか?」

「そうなのか」


師匠の反応を見るに、この世界の料理って日本に近い味付けの物もあれば全然日本らしくないこの世界独特な物もあって中途半端になってる感じなんだよね....まぁ全然食べられない料理の世界よりは全然マシなんだけどさぁ....。


ま、だからと言って率先して料理改革しようなんて面倒臭い事はやらないけどね!



酒屋を出た後は米と野菜類、果物や他の調味料等を買い足して行き全ての買い物が終わったのは既に日が落ちかける頃だった。



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