第148話 エルフの国へ行こう・2

食事をした後はまた歩き出す。森の中ではスピカに乗って行くよりも、自分の足で歩いた方が早いし稀少な薬草を見つけたりする事もあるので勉強にもなる。流石にここまで来れば万が一追手が来たとしても追い付かれる心配はないだろうし、エルフの国に入ってしまえば普通の人間だけでは中には入れないのだとか。


何でも一昔前には見目の良いエルフの子供を拐って奴隷として売買する貴族達も少なからず居たそうだ。不可侵条約が結ばれているとは言え、馬鹿はどこにでも居ると言うことなのだろう。


「師匠、そう言えばこの森はエルフの国まで続いてるんですか?」

「そうだ。国境沿いにあるこの国最後の街はこの森を一部開拓して作られた街で、基本的にはこの森とエルフの森は繋がっているんだ」

「....じゃあ凄く大きな森なんですね」


へぇ~……空から見たら凄いだろうなぁ....


「まぁなぁ。この森の中にもダンジョンがあるぐらいだからかなりデカイぞ」

「え?ダンジョンですか?」

「ああ。確か緑の迷宮だったかな?ドロップ品は別として採取系が緑に関した物が多いからそう呼ばれてる。木の実とか果物とか....ああ薬草もだな」


まさかこんな森の中にも迷宮があるとは思ってなかったわ。少しだけ興味が湧いてくる。そんな私の思考を読んだのか師匠が此方を向いて聞いてくる。


「何だ、行きたいのか?」

「ん~……そうですねぇ。あるとわかったら少し行ってみたい気もしますね」


それが正直な気持ちだ。


「まぁ確かにな。だが今は無理だな。エルフの国に着いてほとぼりが覚めるまでは自重した方が無難だろう。食料確保に魔獣を狩りに来るぐらいなら良いが....迷宮に潜ると他の冒険者に嫌でも遭遇するかなぁ」

「ああ、確かにそうですよねぇ」


そうだそうだ。迷宮に潜る冒険者は多いからそこから私達がこの辺りに居ることがバレる可能性もあるんだ。


「じゃあ冒険者ギルドの利用も控えた方が良いんですよね?でもそれだとギルドカードの期限とか大丈夫ですか?」

「ん?ああ.....そうか。リンはCランクだから期限があるか。ならギルドカードの更新時期にだけ別の街に行ってそこで依頼を受けて完了報告をしたら居場所の偽装が出来る。Cランクだと2年に1回は依頼を受けないと冒険者の資格が無くなるからそれまでにすれば良いし、2年も経てば流石に国もお前を探すのを諦めるだろ」


逆に言うとそれだけの期間捜索される可能性があるって凄く嫌なんだけど.....。え、国王とか貴族って暇なのかな?


「ギルドに行く際には俺も一緒に行くから何とかなるし、何とかするさ」

「.....そうですね。元ギルドマスターだし、頑張って下さい!」

「いやそれは関係ないぞ」


こうして気軽に話しながら歩いてるけどたまに狼型の魔獣やらが飛び出して来るのを師匠が剣で一刀両断しなからマジックバックに入れているんだけど.....明らかに普通じゃないよね?


たまに修行の一貫として私に魔法以外の方法で討伐させるけど。魔獣との距離があれば弓で、なければ剣で。最初はつい魔法を使いそうになって叱られたりしたけど段々とコツを掴めばまぁ普通に退治する事が出来るようになった。


そして討伐した魔獣を解体し、お肉はその日の食事になったり、毛皮等は纏めてエルフの国のギルドに売る事にした。


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