第142話 師匠

ギルドマスターこと、シリウス・フラムスティード氏に弟子入りして一番に変えたのは呼び方。


やっぱりここは、今までギルドマスターと呼んでいたのを「師匠」と呼ぶようにするべきでしょって事で「師匠」になった。まぁこれは2人の関係性を手っ取り早く目に見えて明確に周囲に周知する事が出来るからとも言える。


そして弟子として学ぶべき事。基本的に平日はギルドマスターとしての仕事があるので当然お仕事優先でその間は師匠お薦めの依頼をこなしていく。採取系だけではなく今までよりも少し難しい討伐系も修業の一環だそう。休日や少し時間の空いた時に街の外や、冒険者ギルドの演習場で手解きを受けている。剣術から弓術、魔法に関してまで全て網羅している師匠は伊達に長生きしていなかった。半端ない強さだった。そりゃあS級クラスの冒険者になれる筈だわ....。それをしみじみと実感した。


そして件のビリー少年。私がギルドマスターの弟子になったと聞いて自分も弟子にして欲しいとギルドマスターに突撃したが敢えなく撃沈したそうだ。


マリッサさんに聞けば、ギルドマスターは今までに1人も弟子は取った事がないんだそうだ。何度か貴族に自分の息子を弟子にしろと命令された事もあるそうだけどキッパリと撥ね付けたとか。S級クラスの冒険者は貴族からの命令を聞かなくても良いと世界各国の王から保証されているから命令に従わなくても大丈夫なのだとか。


あれ?じゃあ私もS級クラスの冒険者になれば王族や貴族達からの横槍を撥ね付けられるんじゃないの?


「そうね、だからギルマスはリンちゃんを弟子にしたんじゃないかしら?後は個人的にも余程リンちゃんを気に入ってるのね」


なんてマリッサさんは笑って言った。うん、いやまぁ気に入られるのは嫌われるよりかは嬉しいけど、何となく含む物を感じて曖昧に笑っておいた。いや、だってまだ私子供だし?流石にロリコンのレッテルを貼られるのは可哀想だ。


.....と言うかこの世界にロリコンやショタコンの定義はあるのかな?


だって貴族では小さい頃から婚約者がいたり、歳の差のある政略結婚も有る訳だから日本での感覚と同じように考えたら駄目だよね。


あ、でビリー少年は私と顔を合わせる度に睨んでくるのを止めないのだ。完全に逆恨みだよね?本当に手を出して来たら返り討ちにするって師匠から許可貰ってるからごめんね、って感じだ。


そう言えば私がギルドマスターの弟子になった事を聞き付けたカノープスさんが転移でわざわざやってきた自分の弟子にもならないかと勧誘して来たのは師匠が取り敢えず追い払ってくれた。正直今、2人に師事してもどっちつかずの中途半端になりそうだしね。将来的に魔法を極めたくなったら来てぇ!って叫んで帰って行ったから、その時に考えれば良いだろう。うん。

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