第141話 弟子入り
私が錬金術でポーション類を作ると高品質になる可能性。
.....まぁあるだろうねぇ....絶体に.....
はははと思わずひきつった笑みを浮かべそうになり寸でのところで耐える。女神様から貰ったチート能力が発揮されるのは目に見えている。
「そ、ソウデスネー……」
思わず片言になる私にギルドマスターの視線は厳しい。
「リン、お前は目立ちたいのか目立ちたくないのかどっちなんだ....」
溜め息をつきながら両腕を組んでソファに深く背を預けるギルドマスターに慌てる。
「勿論!目立たない方向です!!」
大事なのはスローライフ。この世界でもせかせか働いて働き詰めなブラックライフは嫌だ。
「なら、今の現状からギルドマスターとして助言するなら両方共に今はやるなとしか言えない。せめてもう少し冒険者ランクを上げて、年齢も成人年齢の16歳までは待て。成人になって、冒険者ランクをせめてAランク.....出来ればSランクが望ましいが、そうなれば自分が望まない話を拒否する事が出来る」
「16歳の成人までにAランクかSランクに」
「そうだ。特にSランクになればかなり融通が利く。国に対してもな....ならお前が何を始めようと文句を言える奴や口を挟んで来る奴も中にはいるだろうが黙らせる事が出来る」
.....あと5~6年と言う年月は待たないといけないけど確かにそれなら私が好き勝手に動いても問題は無くなるのか....
「冒険者ランクもそんなにすぐに上がるもんじゃないし、ポーションを作るにしても錬金術を実践で使えるように覚えるのは今からなんだろう?きっと成人までの年月なんて、あっと言う間に過ぎて行くんじゃないか?」
「.....そう、ですね?」
うーん.....ギルドマスターの言うことは理にかなってる。今、Cランクの私がSランクまで冒険者ランクを上げようとしても並大抵の努力では無理だろう。そこまで頑張って冒険者ランクを上げる必要があるのかと言われたら、普通に生活するだけなら必要ないだろうけど色んな制約を躱す為にはそれなりの力がこの世界には必要で....。
「....そうですね。確かにギルドマスターの言う事が正しい気がします」
今の私では万が一何か自分が望んでいない国からの横入れが入った場合、どうする事も出来ない。ギルドマスター達が守ってくれるにしても、出来る事には限りがあるだろう。最悪この国を出て行ったとしても他の国で自由を制限されて生きて行くのは嫌だ。なら、私に出来る事は自分が力を持つことだろう。私の望むスローライフ。その為の努力なら惜しむこと無く私は努力する方を選ぶ。
「取り敢えず今はお店は止めて、冒険者ランクを上げる為に頑張ります!」
「....そうか。ならリン、俺の正式な弟子になれ」
「え?ギルドマスターの弟子にですか?」
「そうだ。弟子になれば本格的に冒険者としてのノウハウや戦闘技術も教えてやれるし、ビリーもお前に手は出せなくなるからな」
あ、ビリー少年の事忘れてたわ
「.....それ、余計に恨まれませんかぁ?」
「だが何も出来なくなる。手を出せば冒険者資格は剥奪されらるし、この街には居られなくなるからな」
うーん.....確かに....。そんなリスクを犯して私に手は出して来ないだろう....多分。まぁ睨まれるぐらいはするだろうけど。付きまとわれてもウザイしねぇ....。
「わかりました。ギルドマスター、これから宜しくお願いします」
「ああ。宜しくな、リン」
こうして私は正式にギルドマスターもとい、シリウス・フラムスティードの弟子になったのだった。
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