第132話 スタンピード・4

灼熱息吹フレアブレス


中範囲殲滅魔術が向かってくる無数の魔獣を灼熱地獄へと叩き落とす。けれどそれで止まるような魔獣ではなく、難を逃れた魔獣は進行方向を変えることなく王都に向かってくる。


超爆スピリームエクスプロード!」


更にカノープスさんが広範囲殲滅魔術を放つと次々に魔獣が術の威力に一瞬で焼き消されていく。


.....うん、敵にまわしたくない人だわ....


「リン!冒険者達に支援魔法を頼む!」

「はいっ!!【身体強化フィジカルアップ】 ついでに【防御結界】!」


城壁の外側に居る冒険者や騎士団の人達全員に支援魔法を掛け終わると同時にギルドマスターが自身の剣を取り出し魔獣へと走り出す。


「リン、補助は任せたぞ」

「了解です!」


もうこうなったらやるしかないよね!誰も死なせたくないし!大事になって城に連行されそうになったら逃げよう!あ、この国を出るなら黎明レイメイは連れて行って大丈夫なのかな!?


『問題ない。聖獣は一国の聖獣ではなくこの世界の聖獣だからどこに居ても問題はないし、国に問題があったとしても我がリンと一緒に居ることをこの国の王は知らぬからな』

『そっか、なら良いか!』


風檻ウィンドジェイル!」


風の補助魔術で風の檻を作って魔獣をその中へと閉じ込め拘束する。からの~


風弾ウィンドバレット!」


檻の中へと風の弾丸を撃ち放つ。数撃ちゃ当たるで馬鹿みたいに撃ち放てば檻の中へと閉じ込めた魔獣は全部仕留めたようだ。


その間にもギルドマスターは剣で次から次に魔獣を切り捨てていく。カノープスさんは相変わらず広範囲殲滅魔術を遠くの方に居る魔獣目掛けて撃ち放っているがよく魔力がもつよね....。


「ギルドマスター!怪我は!?」

「今の所大丈夫だ!それにしてもお前も派手に動いてるな!?」


話していても魔獣が止まってくれる事はないので必死に対応しながら話すが、ギルドマスターは息さえ上がっていない。


「カノープスさん程じゃないです!よく魔力が持ちますね!!」

「ドーピングしてるからな!」


ああ!魔力回復薬か!!確かに魔力が少なくなってあれを飲めば魔力が回復するから広範囲殲滅魔術でも撃ち放題だわ!身体に良くなさそうだけどね....


周囲に眼を向ければ他の高ランク冒険者も騎士団の人も多少怪我はしてるみたいだけど魔獣を後ろに逃がすことなく屠っていってる。


氷刃アイスカッター!」


左側で中型の魔獣と闘っていた騎士のひとりが魔獣の爪を避けきれず膝を付いたところを別の魔獣が襲いかかろうとしていることに気が付き咄嗟に氷属性の魔術を放つ。氷の刃が命中し2匹の魔獣の首をはね落としていった。此方を見た騎士さんに頷き、ギルドマスターの後を追いかけていく。



ギルドマスターに追い付くとそこにはカノープスさんも居た。最初に王都に向かって来ていた魔獣の姿は残り少なくなっているようで後は後方のメンバーに任せても大丈夫だと判断したのだろう。振り返れば確かに魔獣の数は残り少ない。


「キリがないな」

「だが今までで半数は減った筈だと思う。残りは今から此方に向かってくるあいつらだけだろう?いっそのこと広範囲殲滅魔術で一気に片すか?」


カノープスさんの言葉を聞いてギルドマスターは後方を見る。粗方魔獣は倒したようで最後の一体を騎士団が倒しているようだ。

けれど冒険者の人も騎士団の人も怪我のない人は居ないようで疲れを見せ始めている人も居るようだ。


「カノープス、広範囲殲滅魔術だけで残りの魔獣を倒せると思うか?」

「....周囲の村や町の事を考えなければ問題ないかな?」


....いや、それ絶対駄目なやつ.....


「それは流石に不味いだろうが」

「そう?うーん....ならリン次第かな~?」

「私!?」


は!?


「そう。リンが戦闘が始まって最初の方で風檻ウィンドジェイル使ってたろう?」

「....使ってましたね」

「あれ、広範囲で出来る?」



カノープスさんの突然の作戦に私とギルドマスターは驚いたのだった。











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