第127話 緊急依頼
その日は朝から雨だった。
雨の日にわざわざ依頼を受ける必要はないので今日は1日家で
「たまにはこんな風にのんびりするのも良いわね」
冒険者活動は楽しいが連日になると流石に疲れは溜まってくる。雨ならば強制的にお休みになるので疲れた身体を労るには十分な1日になる。
『そうか?我は晴れた日の方が好きだな』
けれど黎明には少し退屈のようだ。雨の日でも依頼を受けている冒険者はいるので、やろうと思えば出来るけどそこまでする必要性を感じないのでパスしたい。
「それはそうだけど.....働きすぎは良くないのよ?」
『そう言うものなのか....?』
「そうよ。それに休める時に休んでおかないと
何があるかわからないじゃない。それこそ何か起きたら休む暇も無くなるわよ」
『ふむ。確かに一理あるな』
「でしょー?」
まさかそんな会話がフラグになるとは。
翌日ギルドマスターから冒険者ギルドに呼び出された。何でも緊急性の高い依頼が王都の冒険者ギルドからこの冒険者ギルドに入ったそうだ。
「呼び出して済まないな、リン」
「いえ、大丈夫です」
ギルドマスターは昨日寝てないのか、少しだけ眼の下に隈が出来てるように見える。
.....そんなにヤバそうな案件なのかなぁ……?
執務室のソファに対面で座ると少しだけ迷った様子で、それでもギルドマスターは話し出した。
「実は王都から割りと近くにある迷宮でスタンピードの発生が確認されたそうだ」
「.....スタンピード....」
確か魔獣が大量に発生して溢れだした魔獣が同じ方向に走り出すんだっけ?余りの魔獣の多さに対処出来ずに魔獣の走る進行方向にある街や村何かが襲われてしまうって言う異世界あるあるだよね?え?それが現実に起ころうとしてるの!?
「え~っと....本当ですか?」
「ああ。王都の冒険者ギルドのギルドマスターから緊急の応援要請の依頼が入った。うちのギルドからもランクのそれなりに高いメンバーをメインに行って貰うことになったよ」
「ランクの高いメンバー」
「そうだ。Aランクは必須で、C、Bランクは任意にしたんだが....リンも参加してみないか?」
「え!?私が?」
まさかの私に応援要請依頼とは。
「理由はスタンピードと言っても王都の近くにある迷宮は比較的ランクが低い事もあって、出てくる魔獣のランクも低いと想定される。だがそれでもスタンピードだ....数が膨大なんだ。だから王都のギルドから緊急の応援要請が入ったんだよ」
「え....っと、つまり魔獣1体の力は弱いけど団体で来るから討伐に当たる冒険者の数が欲しいって事ですか?」
「手っ取り早く言えばそうだな。だから広範囲の魔法攻撃が出来る奴が欲しいんだ」
ああ.....それで私なのか.....ふむ。
「カノープスさんは討伐に出ないんですか?」
「いや、彼奴ら宮廷魔導師団も勿論討伐に参加するよ。だが宮廷魔導師団と言えども魔力には限界があるだろう?」
「.....確かにそうですね....」
カノープスさんが出ても倒せないぐらいの数の魔獣が出てくるんだ....。
「王都の冒険者ギルドには高ランク冒険者が居ない。スタンピードが起きた場合は大抵他の土地から緊急の応援要請を受けて参加するんだ。王都近くには高ランクの迷宮もないからな。.....だから逆にこう言った事態が起きた場合、脆弱なんだよ」
「.....わかりました。私も参加します」
魔法をメインに使うことを望まれているなら後方からの攻撃になるだろうから、余程の事がない限り危険度は下がるだろうから何とかなると思うし、
「そうか。済まないな....一応俺も参加する事になっているから王都へは俺が連れていこう」
「え!?ギルドマスターも参加するんですか?」
まさかのギルドマスターも参加とは!?....でもここのギルドを空けても大丈夫なの?
「少しの間俺が居なくても副ギルドマスターがいるし、マリッサも居るから大丈夫だ。それに俺も一応S級冒険者になるから緊急性の高い物は余程の事がない限り今でも参加必須なんだ。そう言う訳で急ぎで悪いが明日には王都に行くから明日の朝にギルドへ来てくれるか?」
「わかりました」
そして翌日、私はギルドマスターと他の冒険者達と一緒に今回は特例と言う事で転移陣を使って王都へと向かったのだった。
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