第122話 新しい家・3

実は冒険者ギルドの部屋は備え付けの家具が元々あったので私が持ってきた物は基本的には細々とした物が多い。


取り急ぎ購入したのは本棚で、これは引っ越しに間に合うように先に納入して貰い、工事中に所定の場所に置いて貰っていた。勿論私の部屋だ。その書棚に無限収納へ入れていた本を出し、1冊ずつ置いていく。日本にいた頃から読書は好きでよくオタク関係以外の本も読んでいたので此方の世界に来てからも暇な時には本屋に行き、良さげな本を購入していたのだ。


この世界には漫画はなく、小説が基本のようで冒険談や恋愛物等、それなりに種類はあった。私が買ったのは魔法関係や薬草関係の本が多いけど、たまに恋愛物を買って読んではいた。まぁどの本もハッピーエンド物が多かったわ.....。後は略奪愛とかも。


.....真実の愛とかあったらどうしようかと思ったわ


それでも用意している書棚はまだまだガランとしているのでまた暇な時に買い集めようかな、とは思ってる。


床にはギルドの部屋でも使っていたラグとクッションと小さなテーブルを置く。テーブルに関しては1階にカウンターテーブルがあるし、基本的には寝るまで1階で過ごすつもりなので部屋でお茶を飲む時ぐらいしか使わないだろうけどね。


客間はシンプルにベッドとクローゼットのみ。クローゼットは泊まった時に服を掛ける所がないと困るだろうと思って一応置いた。それが活用される事はしばらくないだろうけどね~。後は客用のバスローブもフリーサイズの物だ。男女共通で使えるものにしておいた。万が一を考えて備えて置くことは重要だもんね!


黎明レイメイは私の部屋の人を駄目にするクッションもどきの上で寝るそうだ。随分とあのクッションが気に入ったみたいだよね.....もう1個作ろうかな??


少しずつ必要な家具なんかも増やして私だけの満足のいく家にしていきたいな。


「私の家.....ヘヘへ.....」


この世界に来てもう1年過ぎたけど、こうして自分の家を手に入れたことでようやく本当にこの世界の住人になった気がする。


『.....リンはこの家で何をしたいんだ?』

「何をって?」

『ふむ.....この家の前の住人は薬屋をやっていたんだろう?冒険者も良いがそういった事をする気はないのか?リンは薬草が好きだろう?』


黎明レイメイが唐突にそんな事を言ってきた。


『よく薬草辞典なる物を読んでいるだろう?違うのか?』

「ああ、うーん....確かに見てるけど薬草採取するのにその薬草を知らないと採取出来ないでしょ?それもあって読んでるんだけど....まぁ将来的にお店をやるのは良いかもしれないわよね」


その為の設備は既にこの家には備わっているんだから。


「でもまぁ、やるとしても今すぐじゃないわ。もう少し冒険者レベルも上げたいし、色んな街にも行ってみたいしね!」

『.....そうか。ならリンがやりたいと思った事をやれば良いと思う。我も手伝おう』

「ふふふ。ありがとう黎明レイメイ


うん。しばらくは冒険者活動に集中して、レベルを上げれるように頑張りますか!



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