第123話 心機一転
引っ越しの翌日、マリッサさんが新居を訪ねて来てくれた。花を持って。
「リンちゃん、お引っ越しおめでとう!お疲れ様!!」
貰った花束を花瓶がないので少し深めのコップに水を入れて生ける。うん、可愛い。
「お引っ越しのお手伝い、出来なくてごめんね。でも.....本当に1日で片付いたのね」
「はい。元々物が少ないですからあっと言う間に終わったので大丈夫ですよ」
お茶の準備をしながらマリッサさんとの会話を楽しむ。ここ数日、引っ越しの後片付けで冒険者ギルドに行けてなかったのでマリッサさんに会うのも数日振りだった。きっとそろそろ行っても大丈夫だろうと思って来てくれたんだと思う。マリッサさんもギルドの仕事が忙しいのに有り難いよね。ちなみに今日はお休みなんだとか。
「でもリンちゃんらしい、可愛い部屋ね。羨ましいわ~」
「.....そうですか?マリッサさんは一人暮らしじゃないんですか?」
「そうね。一応これでも主婦だから旦那様が家を買ってそこで家族で住んでるけど子供が居るとどうしても子供仕様の部屋になるでしょ?」
あ~……確かに子供が小さかったりしたら危険な物は置けないし、直ぐに壊されそうなモノも置けないし....
「確かにそうですね」
「でしょ?だから一人暮らししてるリンちゃんが少しだけ羨ましいわ~」
.....うーん....私からしたら仲の良い家族の居るマリッサさんの方が羨ましいけど....これはあれだな、無い物ねだりだよね。自分にないから羨ましくなっちゃうやつ。
「ヘヘへ。でも家を買ったので手持ちのお金も少なくなったので頑張って冒険者活動しないといけないですけどね!」
そしてついでに目指せBランク。
.....まぁランク上がったばかりだから当分無理だろうけど、塵も積もれば....だから!
「無理はしちゃ駄目よ?無理をしても結果はついては来ないわ」
「勿論です。私は私に出来ない事はしない主義ですからね~」
「.....いつも思うけど本当にリンちゃん11歳?何だかもっと年上の女性と話してる気分になるわ」
ぎくり。
「.....そんな訳ないじゃないですか。どう見ても子供ですよ?まぁ....本を読むのが小さい頃から好きだったので知識は人一倍あると思うので子供らしくないとは思うんですけど....」
くっ、苦しい言い訳かなぁ~……!
「そうよねぇ.....確かに小さな子供の内から本をよく読んでる子の知り合いがいるけど....言われて見ればその子も子供らしくなかったわね。と、言うことは家の子も今からから本を読ませればリンちゃんみたいに成長してくれるかしら?」
キラキラと眼を輝かせ期待するマリッサさん。
「ひ.....人によるんじゃないですか?」
それしか言えない私だった。
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