第113話 薬師の迷宮・6
カノープスさんが風魔法で倒したトレント達からドロップしたアイテムを引き寄せると、目の前に大量のアイテムが転がる。
「.....一体何体いたんですかね?」
余りのドロップアイテムの多さに部屋に居たトレントの数が気になった。しかもその大量のトレントをカノープスの火魔法は瞬殺したのだから、その威力は計り知れないものだと思う。
「さぁねぇ.....取り敢えず全部燃やしたからわからないかな?オリヴァー君、目的のアイテムはあるかな?」
「.....少しお待ち下さい.....おい、そっちはどうだ?」
「えーっと.....」
オリヴァーさん達騎士団の面々が必死にドロップアイテムを漁っている。そう言えば探している素材が何かを聞いていなかった気がする。
「ギルドマスター、聞いていなかったと思うんですけどドロップして欲しい素材ってどんな物なんですか?」
薬を作るのに必要な本来の素材と互換性のある素材と言ってた筈だけど。
「ああ、それは....」
「ありました!」
まさかの初回からのドロップに思わず声のした方へと振り返る。
「魔導師長殿、ひとつだけですがありました!」
「本当か!?」
カノープスさんも慌ててオリヴァーさんから受け取り、間違いがないかを確認しているようだ。
「本当に初っ端からドロップするとはなぁ.....お前、どれだけ幸運値高いんだ?」
ギルドマスターが呆れたように私を見てくるが、そんな事を私に言われても女神メダ様がくれた初期仕様だから私に言われても仕方がないんだけどなぁ.....まぁそんな理由は言えないけれど。
「それでどんな素材なんですか?」
「スルーかよ。.....まぁ良い、ザックリ言えばトレントの樹液だな」
「トレントの樹液」
「そうだ。トレントを倒すと極々稀にドロップする万能薬の元になる樹液で、どんな薬にでも足りない要素になる魔法の液体だな」
え、それどんな魔法液なんですか....!??
「しかも毒薬には絶対に使えない仕様になってるから安心して薬に使えるんだ」
「マジですか....!?え~~??」
「別名、" 神の滴 "とも呼ばれてるぐらい貴重な物だな」
流石異世界って言って良いのか?良いのか??
「.....でも普通にドロップしましたよね?」
「したな.....だからお前の運はどうなってるんだ、って聞いたんだよ」
確かにそれなら聞きたくなっても仕方がないのか......。言わないけど。
「あ、じゃあもう手に入れたから迷宮探索は終了ですか?」
「.....いや。アイツの事だからこのついでに複数手に入れようって言うと思うぞ?」
「......確かに.....」
ギルドマスターの予想通り、カノープスさんは迷宮に潜る期間目一杯にボス部屋を周りまくり、極々稀にしかドロップしない筈の貴重な" 神の滴 "は合計3本手に入れたのだった。
ちなみに" 神の滴 "は、ご丁寧に瓶に入ってドロップしていたと言う迷宮あるあるでした!
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