第112話 薬師の迷宮・5
何だかんだと言いながらも、あっと言う間に十五階層へと到着した。本当にあっさりと。
「戦力過多だったんじゃないか?」
カノープスさんがボス前の扉を見上げながら呟いた。木で出来た扉には何やら一見紋様みたいな柄が入っていて凄く綺麗だ。
「いや....昔に来た時より魔獣の数が少なかったからじゃないか?前はもっと多かった気がするんだが.....ギルドに戻ったらここに良く来る冒険者の奴らに確認してみるか....」
ギルドマスターが何やら考え込んでるようだが多分他の冒険者から話を聞いても無駄だと思うけど理由を言えないから、ここは黙っておこう!余計な事を言えば藪蛇になりそうだもんね!
「では扉を開けますね」
ハルクさんがそっと扉を押すと、ゆっくりと両サイドに広がり静かに開いていく。
おおっ!遂にボス戦!!何の魔獣何だろう?
「ギルドマスターが薬師の迷宮を攻略した時はボスの魔獣は何の魔獣だったんですか?」
「俺達の時はトレントだったな。倒す方法で1番有効なのが火魔法だったから火魔法を使えるメンバーが一斉に放って倒したな」
「え、じゃあボスはトレントですか?」
「.....ランダムでボスが変わる迷宮もあるし、確か薬師の迷宮もランダムだった筈だから違う可能性もあるが.....ただ欲しい素材がトレントからしかドロップしないとも聞いてるから難しいところだな」
「じゃあボスがトレントならカノープスさんが火魔法でやっつければ完璧ですね!」
それが1番手っ取り早いよね!?
「だ、そうだから。カノープス、頼んだぞ?」
「....仕方ない。元々俺達から頼んだ依頼だからな。俺としては火魔法だけで倒せるトレント1択だがな」
じゃあボスが出るまでに補助魔法かけちゃえ!
「補助魔法掛けましたのでボスが現れたらお願いしまーす!」
「「「 おー 」」」
騎士団組が元気に返事をしてくれる。部屋の中に入ればたった今まで開いていた扉が自動的に閉まり、私達は警戒体制を取る。
正面には大きな台座があり、その周りを大きな木々が囲うように生えている。そう思った瞬間、最大級の火魔法がその台座と木々に向かって放たれ、その余りの火の熱さに身体ごと顔を背けてしまう。
「あつっ.....!!」
「リン!」
咄嗟に隣に立っていたギルドマスターが覆い被さってくれなければその熱波で火傷するんじゃないかと言うぐらいに熱かった。
「カノープス!魔法打つなら先に言え!!」
「ん~……だって台座囲ってたのトレントだろ?ほら、もう終わったよ~」
「.....魔導師長.....」
オリヴァーさん含めた騎士団の皆は私達より更に後ろに控えてたのでまだ熱波はマシだったようだが呆れた表情をしているのでカノープスさんの行動は宮廷魔導師としては余りお勧め出来ない行動なんだろう....。
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