第110話 薬師の迷宮・3
それからサクサクと順調に階層を進み、あっと言う間に十階層へと到達した。
途中、五階層辺りからは中級クラスの魔獣が出るようになり、戦闘前に私が支援魔法を掛ければギルドマスターとオリヴァーさん達騎士団メンバーが次々と魔獣を倒していき、集団で現れた魔獣相手にはカノープスさんが、火魔法で一網打尽に容赦なく焼き払っていた。
.....うん、えげつないなぁ....
そんな6人の様子を少し離れた場所で見学している。流石に騎士団の人は剣さばきが素晴らしいし、カノープスさんも宮廷魔導師長だけあって魔法のコントロールも威力も凄いように思う。一緒に見学している黎明が褒めるぐらいだから相当なものなんだろう。
ギルドマスターは以前ホワイトバードを狩りに行った時は弓をメインに使ってたが剣も使えたんだなぁなんて、のほほんとした感想を頭に浮かべていた。
「私、最初に支援魔法かけただけで何もしてないんだけど戦闘に参加しなくてもいいのかなぁ」
一応これでもDランクの冒険者ではあるのだから魔獣と闘う戦闘能力はあるのだ。それなのに迷宮の中に入って支援魔法だけしか手伝わないとはそれいかに??
『いいんじゃないか?適材適所と言う言葉がヒトの中にはあるんだろう?リンはこのメンバーの中では支援魔法が得意なのだろう?ならメンバーから任された役割をこなすことが大事ではないか?』
.....適材適所ねぇ....聖獣ってそんな言葉まで知ってるんだ.....
「ん~……そう言うことにしておくわ」
『ようは、1人だけじっとしているのがつまらないだけだろう?』
「......そうとも言う」
そんな話をしている内に戦闘が終わったらしくドロップしたアイテムを拾いながらギルドマスター達がこちらに戻ってきた。カノープスさんなんて拾うのが面倒臭いのか、風魔法でかき集めている。
.....器用なのか、横着なのか微妙なところだなぁ
「お待たせ」
「お疲れ様でした。怪我とかされてないですか?」
私はオリヴァーさん達に怪我がないか声を掛けた。聞くまでもなくギルドマスターとカノープスさんは大丈夫だとわかっているからだ。
馬車の中で聞いた話だが、基本的に王立騎士団は対人戦向きに戦闘訓練はしているが、魔獣相手には余り戦闘経験がないそうだ。だから魔獣と戦闘になって怪我をする順位はオリヴァーさん達になるのだ。
「大丈夫ですよ。これぐらいの魔獣相手なら対人戦の方が大変なぐらいですからね」
「そうなんですか?」
「ええ。魔獣は策も立てずにただ此方に向かってくるだけですから」
オリヴァーさんが苦笑する。
思考能力がある分だけ、人相手の方が大変って事ね。ただ強い魔獣になると純粋に力が強いので倒すのが難しくなるのだと教えてくれた。
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