第108話 薬師の迷宮・1
馬車を走らせること約半日程、私達は薬師の迷宮へと到着した。
薬師の迷宮は要塞都市ミルトンからも近いとあってか、迷宮へと挑戦する冒険者の数もそれなりに多いみたいで、私達が馬車から降りた途端に彼らの視線が集中する。
まぁ、王立騎士団の騎士服と宮廷魔導師の制服を着た彼らと要塞都市ミルトンの冒険者ギルドのギルドマスターが一緒に馬車から降りてきたら何事かと思うよね?私?私はノーカウントだから!
けれど後からハルクさんが教えてくれたが、そんなメンバーの中に子供の私が混ざっていたから余計に目立っていたそうだ.....。
迷宮の入口には受付が設置されていて、中に入る際には必ずここで登録をしないといけないんだそう。万が一、中に入った冒険者が戻って来なかった場合に捜索隊が編成されるそうな。私達は今回一週間と期間が長いのでそれも事前に登録しておくのだとか。確かに登録をしておけば何か不測の事態が起きても助けに来て貰える可能性があるのは冒険者にとってはある意味命綱にもなるし、安心感もあるだろう。だからと言って無茶をしてはいけないが.....。
「全員で7人だ。国からの依頼でね、一週間程迷宮に籠るから」
「あ、は、はいっ!じゃあ一人ずつこの水晶に手を置いてください。魔力が登録されますのでもし一週間経っても戻られない場合は要捜索案件になりますので!ギルドマスターがご一緒なら大丈夫かと思いますが!」
ギルドマスターが代表で受付の職員さんに申告をし、順番に水晶に手を置いていく。仄かに淡く光る水晶に思わず目が行ってしまうのは仕方ないだろう。全員が水晶に登録を終え、ゆっくりと迷宮の中へと入る。
「お気を付けて!」
ギルド職員さんの声に手を振って返事をし、私もギルドマスターの後ろに着いて行く。
「おお~っ......」
迷宮の一階はまるで洞窟のようになっているが、彼方こちらから大きな木が生えていて大樹となり、洞窟の天井部分を覆い被さるようになっていて、葉も生い茂っている。どこかから風でも入ってるのか葉はサワサワとゆっくりと揺れていた。
「凄い.....これが薬師の迷宮なんだ.....」
やっぱり薬師の迷宮で薬草や錬金術関係の素材がドロップするって言ってたからこんな森みたいな空間になってるのかな?
『そうだな。基本的に迷宮は大抵がその素材の持つ属性から出来ている事が多いな。だが迷宮によっては素材は関係なく森もあれば海もあってこたりするぞ?』
へぇ~……そうなんだ。迷宮の中に海って、海水とかどうなってるんだろうと凄く不思議に思うのだった。
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