第104話 ダンジョンへ行こう!・4

生活魔法でクリーンを使えないとは予想してなかった事実にリンは内心ヤバイなぁと考える。


いや、でも逆に言えば今ここに居るのは宮廷魔導師様。彼に広めて貰えれば問題は解決するのでは?と思う。


「えっと、普通クリーンはどんな人が使えるんですか?」

「....クリーンは浄化魔法だから基本的には光魔法の属性が使える奴だな。リンは光魔法も使えるのか?だからクリーンも使えるんじゃないのか?」


ギルドマスターは私が風魔法と水魔法が使える事は知っているが、まさか全属性使えるとは思いもしないだろうが.....。


「クリーンは光魔法じゃなくても生活魔法でも使えますよ。実際に私は生活魔法でクリーンを使ってますから.....もしかして" 浄化 " と言う言葉に拘ってて使うことすら考えた事がないから使えないんじゃないですか?」

「...どういう事だ?」

「ギルドマスターはクリーンを浄化魔法を使うのはどんな時だと思ってますか?」


私に問われギルドマスターはしばらく考え込む。


「....そうだな....浄化魔法はアンデッドを倒したり、瘴気を浄化する魔法だと思っているな」

「俺もだな。交流のない他国では知らないが俺が知る限りはその意識しかないな」


カノープスさんも頷いた。


つまり、浄化魔法はそう言う物だという固定概念があるから生活魔法で浄化が使えると言う意識すらないのだろう。それに光魔法で使う浄化と、生活魔法で使う魔法はそもそもにして使う用途が違う。それをしっかり認識できなければ発動させるのは難しいのではないだろうか?


「えーっとですね、ギルドマスター達が思う光魔法の浄化と生活魔法の浄化は全く違うものだと理解して下さい。生活魔法の浄化はあくまでも対象物を綺麗にする事です。それを頭の中で確実に想像して下さい。ギルドマスター、ちょっとこのハンカチにインク垂らして汚して下さい」

「は?....あ、ああ」


ギルドマスターは私が言った通りに黒のインクを少しだけハンカチにつける。....もっと大胆に汚してくれても良かったんだけど。


「じゃあ見てて下さいね....クリーン」


私が手にした汚れたハンカチが一瞬で綺麗になる。まるで洗い立てのように。それを見てギルドマスターとカノープスさんは驚いた。


「.....これは.....」

「うん.....確かに光魔法じゃなく生活魔法だな....ちょっと私にも貸してくれ」


私の手からハンカチを取り、もう一度インクを付けて汚すし、目を閉じ浄化魔法を唱えた。


「クリーン」


再び目を開けた時には私がやった時と同じ様に綺麗なハンカチがその手にあった。


「おおっ!やったな!カノープス」

「.....まさかこんなにも簡単に生活魔法でクリーンが発動出来るとは思ってもみなかったな」

「...:簡単に発動できますけど、あくまでもこれは対象物を綺麗にするだけでアンデッド等を浄化出来るわけではないのでそれだけは注意して貰わないと....」


私は注意事項を告げる。流石にないとは思うがこれで浄化が出来ると思い込んでアンデッドや瘴気に近づこうとする馬鹿が出ないとは限らないから。


「そうだな。だがクリーンを伝授する前に薬は必要になるからダンジョンには同行をお願いしたいんだが....」

「....わかりました。ギルドマスターも一緒ならギルドマスターの指示に従います」

「済まないな、リン」


ギルドマスター自身は有り難いことに、余り私を宮廷魔導師団に関わらせたくないと思ってくれているみたいだが、薬に関わる一件だから私に判断をさせてくれたんだろう。


今回はギルドマスターも一緒に行くみたいだから変な事にはならないだろうし、ダンジョンにもいずれ行ってみたいとは思ってたから、まぁ良いかな?





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る