第103話 ダンジョンへ行こう!・3
「それでそのダンジョンってどこにあるんですか?」
そう言えばダンジョンのある場所を聞くのをすっかりと忘れていた事に気がつく。
「ああ、ダンジョンはこの街から西に半日程馬車で行った先にある。" 薬師の迷宮 "と言うんだ。規模的には中級クラスで主に薬や錬金術等に使う素材がドロップする事から" 薬師の迷宮 " と呼ばれてるんだ」
ギルドマスターがダンジョンの説明をしてくれるのをフンフンと聞いて頷く。
「他にも国内には" 食材の迷宮 " とか、" 石の迷宮 " とか色々あるがな」
「石?」
「そうだ。まぁ石と言っても主に宝石の方の石だな。貴族から採取依頼が多いのもこのダンジョンだな....あと料理人に多いのは食材だな」
両方とも何となくわかる。貴族女性は絶対に宝石類が好きだもんね....食材は私も気になる。
「それで今回は薬師の迷宮ですか....隣国で流行ってる病ってそんなに特殊な素材がないと薬が作れない病気なんですか?」
「.....まぁ特殊と言えば特殊な素材かなぁ?」
「え、何故疑問系?」
ダンジョンに採りに行かないとないなら余程特殊な素材ではないのか?
「あー....リン、あのな特殊って言っても普段ダンジョン以外で採取出来ない訳ではなくて時期的な物なんだ」
「時期的な」
「そう。その薬に使われている素材は基本的に春に採取される物で、今の時期はダンジョンでしか採取出来ないんだ」
そうか。だからダンジョンに行かないと薬を作る事が出来ないんだ....。
「因みに何の病気なんですか?」
流行り病ってぐらいだからそれだけ感染するスピードが早いって事よね?隣国って言ってたけど、この国は大丈夫なのかしら?
「.....」
「え?そんなに言いにくい程不味い病気なんですか?」
ギルドマスターがすっごく言いづらそうな表情をしている。
「水虫」
今のこの深刻そうな場面に、場違いな程に明るい声が部屋に響く。
「.....は?」
って言うか今何て言ったの?この人.....。
「だから、水虫だって!この間隣国て凄い水害が起きてね。家を水に流されたり、土砂が平原を多い尽くしたりしてね。そりゃあもう衛生面で最悪だったんだよ」
カノープスはその時の状況を語る。
「衛生面から来る普通の病は俺達が処方した薬を王家から隣国に手配して住民達に無償で配布して広がりは終息したんだけど、水虫だけは素材が無くて薬が作れなかったんだよ」
えーっと......どこからつっこんだら良いのかな?
「それは.....なる前にクリーンを使って清潔を保てば良かったのでは?」
「平民で魔法を使える者は少ないだろう?」
「いや、クリーンですよ!?生活魔法が使える平民なら覚えれば誰でも皆使えるはずじゃないですか!?」
「はぁ??」
え、何その反応。
「.....リン、生活魔法でクリーンが使えるなんて聞いた事ないぞ?」
「え?でも私使えますよ?」
「ええええ.....」
頭を抱えるギルドマスターと、目をキラキラと輝かせる対照的な2人に私はもしかしてやっちまったかぁ!?と思ってしまったのは言うまでもない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます