第102話 ダンジョンへ行こう!・2

「....運....ですか?」

「そうだ。ドラゴンの涙花や、雪ノ下草等希少な薬草をことごとく納品しているのは君だろう?あれらはそんな簡単に採取できる物ではないし、雪ノ下草なんて雪を掘らなければあるかどうかすらわからない上に、生えてる場所自体が曖昧なんだぞ!」

「いえ、ドラゴン涙花は辺境伯様から情報を頂いてましたし雪ノ下草は....まぁ偶々ですね」


まさか聖獣に教えて貰いました~とは言えないので言葉を濁す。あ、でもカノープスさん黎明レイメイの事見えてたんだっけ?


「それが君の持っている幸運だ。今回はその幸運を俺に貸して欲しいんだ。だからダンジョンへ一緒に来てくれ」


結局そこに行き着くのか!?


「....ギルドマスター....話しになりません」

「はぁ.....カノープス、俺が説明してやるから少し黙っててくれないか?」

「....何故だ!?」

「い・い・か・ら・黙っててくれ」


宮廷魔導師って文系のイメージだったんだけどもしかしてこの人脳筋なのかな!?



結局詳しい話をしてくれたのはギルドマスターだった。


「つまり、そのダンジョンのボスを倒せば隣国で流行している病の特効薬になる素材がドロップすると。でもボスを倒しても必ずそのアイテムがドロップするとは限らないから、少しでもドロップ確率を上げる為に私に同行して欲しいと....こんな感じですか?」

「そうだ。やっと理解してくれたか!」


いや、さっきの貴方の話のどこに今の内容があったのよ?これはあれだ。この人基本的に人に説明するのが苦手何だと思う。自分が一を聞いて十を知るを体現してるから、他人も同じ事が出来ると思ってるんだわ。


「理解も何も、ギルドマスターが話してくれなかったら全くわかりませんでしたけど?」

「理解力が足らないんじゃないか?」


それはアンタだっつーの!!


「それはお前だ、カノープス....他人全員がお前と同じだと思うなと何回言えば理解するんだ?」


はぁ~と深い溜め息をつくギルドマスターに同情してしまう。きっと今までも同じような事が多々あったんだろう。


「それでリン、どうする?ダンジョンへは王宮から騎士団員数人とカノープスが参加する。此方からはダンジョンの案内人として俺が参加する予定だ」

「え?ギルドマスターが参加するんですか?」

「今回はアイテムがドロップするまでボスを倒す必要があるから下手に人員を参加させる訳にはいかない。なら一応S級クラスの俺が参加した方が効率が良いんだ」


そうなのか。確かに回転率を上げようと思ったら1戦毎の戦闘時間は少ないに越したことはないだろう。


「ギルドマスターが参加するなら私も行きます」

「え~何それ!俺が誘った時は即決してくれなかったのに....シリウスだけ贔屓だ!」


贔屓って.....子供かよっ!


「ギルドマスターの事は信用してるので」

「お前とは違うって事だ」


ニヤニヤしながら自分を見るギルドマスターをカノープスさんは悔しそうに見つめるのだった。





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