第91話 雪ノ下草・4

黎明レイメイと私の共同作業により、20本程の雪ノ下草を集め終わった頃には既に陽はかなり落ち辺りは薄暗くなりかけた時間になっていた。


「あ~.....いつの間にかこんな時間になってたのかぁ.....雪を掘るのに必死になってて全く気がつかなかったわ」

『我も同じく.....こんなにもひとつの事に集中したのは何だか久し振りだな』


黎明レイメイも自分の行動を振り返り同意する。


「でもそのお陰で予想以上の雪ノ下草が取れたわ。頑張って探せば意外とあるものよね。しかもまだ探してない場所も沢山残ってるのに」

『そうだな。まぁ今回はこれぐらいにしておけば良いんじゃないか?大体の場所も採取方法も確定出来たのだからな』

「そうね。今回の依頼内容も最低1本だから全部出す必要もないしね....何本提出しようかな?」


流石にこれだけ頑張って採取した物を1度で渡すような真似はしない。かと言って少なすぎてはすぐにまた採取依頼が出される可能性もある。

絶妙なラインで出せたら1番良いんだけどね~


『これだけ採取に時間が掛かるならば元々余り数が取れないと考えた方が良いのではないか?』

「.....そうか、そうよねぇ。下手に多く出したら目立つわよねぇ……マリッサさんかギルドマスターに普段の納品数を確認してから出すって方法が確実かな?」


採取依頼の期限もそもそも1週間あるのだ。まぁ恐らく採取場所への移動期間を含めた日数なんだろうけど、それだけ期間が長く設定されてるなら以前からの納品数は少ないと考えて良いだろう。


『ならばもう戻るか?それとも変に勘繰られないようこの山に数日籠るか?』

「.....帰るのは転移ですぐに出来るけど....確かにアリバイ作りに数日は遅らせた方が良さそうかな」


1日で採取して帰ってたら転移が使えるとバレる可能性高いよね?まぁギルドマスターやマリッサさんにならバレても変に利用されないとは思うけど。そう考えられるぐらいには私は2人を信頼してるんだと染々思う。


『ならば我の寝床に案内しよう』

黎明レイメイの寝床?この洞窟じゃなくて?」

『そうだ。ここは単なるドラゴンの涙花の群生地のひとつに過ぎない。そこを我が管理しているだけの場所だ。寝床は別にある。』

「そうなんだ。ここから遠いの?」

『山の頂上にあるから翔ぶぞ。我の背に乗れ』


え?頂上??空気大丈夫なのかな??


「あの黎明レイメイ?人間は空気がないと息が出来なくて死んじゃうんだけど.....山頂って空気大丈夫なのかな??」

『....山頂とは言え山頂にある我の聖域に行くのだから我の主であるリンが死ぬ事はないと思うが』


思うが、じゃないよ!?それ目茶苦茶不安要素しかないやつでは!?


『いいからさっさと乗れ』


グッと襟足を咥え自身の背に私を強制的に載せると、黎明レイメイは空高く飛び上がり一目散と山頂を目指して飛び立った。



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