第90話 雪ノ下草・3
何だかんだ言いながらも1度受けた依頼を達成出来なかった等と無責任な事をするつもりは私には無いので、気合いを入れ直す。
「よし!じゃあまずは雪をどうするかよね!溶かす訳にはいかないし、こうよけた雪を雪山の様に積み上げて、雪ノ下草が無ければ元の場所に戻す感じでどうかな?」
『......ふむ、別に掘ったままにしておいても1日経てば元に戻るぞ?』
「え?そうなの?」
『ああ。この場所から山頂にかけては特に聖域としての力が強く夜に人が入り込めないように雪が常に降り続くんだ。其でなくとも魔獣が出る中で更に雪で視界が悪ければ誰も近寄らないだろう?』
.....た、確かに.....
『だから雪山にして掘らずともこの一帯を溶かしてしまえば早いぞ?』
「う、うーん.....溶かすだけだと一気に水になってヤバそうだから.....するとしたら蒸発させるとか?いや、それだと後々雨になるか.....やっぱり雪山にする方が被害は少なそうな気がする」
魔法って何でも出来そうな気はするんだけど、" 出来そう"と" 出来る" はまた違うんだよね。
試してみるのは構わないけど、上手く出来なかった場合の被害が今回はヤバそうなので地道な方法にしておく方を選んだ。
『そうか、ならば早く始めるぞ。そうでなければ今日中に終わらなくなる』
「うん!じゃあわかりやすいように端からやっていこう!!」
私達は湖一帯への入り口辺りから始めようとスタート地点にわかりやすく目印を立てる。これで何処から始めたのかより一層後から見てもわかるだろう。
「ディグウィンド」
風魔法を使い雪ノ下草を間違って斬ってしまわないように慎重に雪を少しずつ掘っていく。
それから1時間程して、ようやく1本の雪ノ下草を発見した。
「あったー!あったよ
『本当か主!?』
慌てて
『ああ、間違いなく雪ノ下草だ。やはりこの場所で間違いなかったな!』
掘っても掘っても出てこない雪ノ下草にもしかしたら自分の記憶が間違って居たのだろうかと少し心配していたらしい。
「うん!取り敢えず依頼書の通り、最低数量の1本は確保出来たから気分的にかなり楽になったよね!」
『まだ探すのか?』
「勿論。せっかくならもう少し探したい。多く見付けられたら全部渡さずに無限収納に保管してても良いんだしね!」
そしたらまた次に採取依頼が発生した場合に態々取りに来る必要もなくなる。
『.....確かに主の言う通りだな』
律儀に毎回探しに来る必要はないんだし、探す時は探せるだけ探せば良い。
「じゃあ~探すの再開ね!ディグウィンド!ディグウィンド!」
風魔法を連打して夕方まで
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