第89話 雪ノ下草・2
『確かに我の山にあるとは言ったがピンポイントで場所を言えと言われても無理だぞ』
確かにそう聞きました。聞いた私が勘違いしたのが悪い事は理解してる。でもさ、あのタイミングであの言い方されたら、ある程度の場所も知ってると勘違いしても仕方がないと思うのよ。いや、でもより詳しく聞かなかった私が悪いわね....。
「私が勘違いしたのも悪いけど、
『そうか、わかった。それでどうする?』
「採取依頼は受けてしまったから探さないと言う選択肢はないわ。依頼を失敗したとしても違約金の支払だけで済むけど1度受けたものを簡単に放棄するのは嫌よ。やるだけやって最終的にどうしても見つけられない場合は....まぁそれも仕方ないとは思うけど....」
『.....この場所にあるのは間違いはないんだが....確かあの草は雪の積もった、更に大きな木の下を好んでよく生えていた筈だ』
「なら雪の積もった平地や湖の周りは避けて、周囲の木の根元辺りを中心に掘り返してみた方が良いわよね」
ただ木の根元を中心にとは言ってもかなりの広範囲になる。それを手で掘り起こしていけば膨大な時間が掛かってしまう。
「....うーん....何かこう方法はないかしら?いっその事、風魔法で雪だけをはらえないかなぁ...」
幸いな事にここに降る雪はサラッとしていて、風が吹けば直ぐに飛んでいきそうな程だ。
『風魔法でならいけるんじゃないか?平地に風魔法で集めた雪を纏めて置けば、草を見つけた後にまた風魔法で元に戻せるだろう?』
「そうねぇ....それなら多分出来ると思う」
出来るけど面倒臭そうだけどね!でも雪を元に戻して置かないと採取した後に雪ノ下草がまた生えて来なくなる可能性もあるしねぇ....採取したら元に戻す作業は必須なのかもしれない。
「それにしても今まで雪ノ下草を採取してた冒険者の人達は皆、こんなにも手の掛かる事をしてたのかな?」
確かに採取依頼の報酬はそれなりに高額にはなっていた。もしかしたらこの手間隙掛かる作業が面倒なのを知っていたからいつまでも依頼が残っていた可能性が高い事に私は今頃気がついたのだった。
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