第82話 宮廷魔導師カノープス・メトリア・4

『彼処は住処としては最高なんですが流石に話し相手が誰も居ないことに飽きてきてしまって』


わかってくれませんか?みたいな感情を込めて言われてもどう返事したら良いのか宮廷魔導師さんもギルドマスターも困るだろうに。


「まぁそう言う訳です」

「いやどう言う訳だよ」

「.....わかった」


三者三様な返答は、この場に誰も止められる人物が居ないことが敗因だなと私は思った。


しかもカノープスさんはあれでわかったの!?


「だが聖獣が聖域を離れて問題はないのか?」

『聖域と私は魔力で繋がってるから物理的な距離はあまり関係がないんだよ。だから全然問題はないね。そもそもとして問題があったら流石に私もあの場所から出ないよ』


そりゃあそうだ。いくらこの性格だからって、流石に自分のやらなきゃいけないお仕事を放りだしてまでは人間に着いてはこないだろう。それぐらいの責任感はあると思いたい!


『そう言う訳で私はリンと契約しているから暫くは行動を共にしてるから宜しくね』


言いたい事だけを言って姿を消した黎明レイメイに内心で盛大に溜め息をついた。この状況で消えるって、私にどうしろと....。


「リン、契約って言ってたがお前には特に異変はないのか?」

「はい。別段変わった事はないですね」

「そうか....ならもし何か異変を感じたら必ず俺に相談するんだぞ、わかったか?」

「はい、わかりました。ギルドマスター.....」


何だか最近ギルドマスター、父親みたいになってきてない?いや別に嫌じゃないから良いんだけどさぁ......


それよりもギルドマスターも良く黎明の事わかったよね。最初から見えてた感じだよね。あれかな?やっぱりエルフだからかな?魔力多そうだもんね。


「お前も余計な事を誰にも言うなよカノープス」

「.....わかってる。これだけ非常識な事は誰にも言わないし、言っても信じない」


カノープスさんが溜め息をついた。

え、非常識なの!?ひどい!

まぁ私も誰彼構わず言うつもりもないけど....。


「それより魔力がそれなりに強い者には見えると思うから気をつけた方が良いかな?まぁ見えても聖獣相手に何も出来ないだろうから問題ないとは思うけど....相手するの面倒臭いだろ?」

「お前....面倒臭いって....見えるとしたら宮廷魔導師ぐらいだろうに。あ、でも冒険者でも高ランクで魔力の強い奴らには見えるか」


確かに面倒臭いから騒がれても困るわよね。まぁそこは黎明レイメイに任せるしか私には手はないし....


「多分本人が何とかすると思うので大丈夫だと思います。もし手に追えない事になったら相談しますので宜しくお願いしますね」


これだけ言っておいたらまぁ大丈夫だろう。





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