第81話 宮廷魔導師カノープス・メトリア・3
テーブルの上に載せられた"ドラゴンの涙花"を5本纏めて緩く紐で縛りとカノープスの手から花がフッと消える。
.....彼も無限収納持ちなのか.....宮廷魔導師なら使えて当然なのかな?あ、でも確か転移が使えてたんだから時魔法が使えるのか。
中々にハイスペックな能力の持ち主と見た。
私がジッとその様子を見ていると、不思議に思っているのだろうと辺境伯が教えてくれる。
「カノープスは無限収納持ちなんだよ。これなら王都まで花が枯れる事もないし、まぁそもそもとして転移で一瞬で城に戻る事も出来るんだけどね」
そうですね。知ってますとは言いづらい。私は曖昧に頷くだけにした。
「.....お前、冒険者と言ったな?」
カノープスさんが私の方をガッツリと見て話し掛けてくる。
「はい、今はDランク冒険者です」
「へぇ.....その歳でDランクとは大したもんだな。お前が指導してんのか、シリウス?」
「たまにだけどな。基本的にはリンが独学で学んでる。将来有望な冒険者だからチョッカイかけんなよ?」
冗談なのか本気なのか微妙にわかりにくい事を言うギルドマスターだが、将来有望だと言われて嬉しくない筈はない。
「....随分お前に懐いてるんだな?」
「懐く....」
「お前ね、犬猫じゃないんだから懐くは止めろ」
「そうか?言い方なんて大してそう変わらないだろう?」
うーん、カノープスさんってかなりマイペースな人なんだなぁ……。
「失礼、少し席を外す」
いつの間にやら執事さんが来て何やら辺境伯に告げていたようで辺境伯を連れて部屋を出て行った。
「お仕事ですかね?」
「さぁなぁ....何と言っても辺境伯だからな。色々とあるんだろう。それよりもリン」
「はい?」
何やら急に深刻そうな表情を浮かべたギルドマスターを見上げると、直球でブッこんできた。
「お前連れてるのユニコーンだろ?何で聖獣なんて連れてんだよ?あれか、六花の霊峰の聖獣連れてきたのか?」
『正解』
私が返答するよりも先に黎明が答えた。まさか聖獣が答えるとは思ってなかったんだろう。ギルドマスターは信じられないような目で
と言うか
『今だけ皆に聞こえるようにしてますよ~』
「そうなんだ」
『ほら、私って有能ですからね!』
胸を張って偉そうにふんぞり返る真似をする
「それで....何故ここに聖獣がいる?」
カノープスさんもこの部屋に入って来てからずっと気になって居たのだろう。いつの間にやら会話に参加していた。
『それはリンと居る方が退屈しなさそうだったから1択ですね』
聖獣こと、ユニコーンの
それはもう爽やかに。
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