第70話 六花の霊峰・1

六花の霊峰


レグルス辺境伯領にある万年雪に覆われた霊峰で、その山には雪が人の目に目視で見える程の大きなサイズの結晶の形で舞い降りる神聖な場所があると言われている事から、" 六花の霊峰 " と呼ばれているらしい。


雪の結晶が肉眼で更に目視で見えるサイズって結構大きいよね??虫眼鏡とかスマホのカメラズーム使えば写真も撮れるって事は確かにネットで見たことがある気がするんだけど.....。


場所はミルトンから北の街道を進んで約1日程かかる場所にあり、ちょうどお隣の領地との境にある山なのだとか。ちなみにこのミルトンからもその姿は見えてたりする。山の麓には小さいが街もあり、霊峰の恩恵にあやかって商売をしている人もいるのだとか。


山の地図らしきものは辺境伯家で書き写させて貰った。持っていっても良いよと言われたけど、失くしたら弁償出来ないので丁重にお断りをした。


一応雪山なので雪山対策はしてある。足りない物は買い足してきた。だって真冬の服を持ってなかったから。取り敢えずコートとブーツは必須だろうと思ったよ!


準備を済ませて1階に降りると慌ててマリッサさんが走り寄って来たので取り敢えず足を止めた。


「リンちゃん、気をつけて行って来てね!今回は1人なんだから十分注意するのよ?」


おかあさんか!?


「はい、気をつけて行ってきます」


それでも心配してくれる気持ちが嬉しいので元気良く挨拶をしてギルドを出る。実はメントスから戻ってきてすぐにギルドマスターから乗馬の訓練をして貰ってたんだけど、相談した結果今回は乗合い馬車を利用する事にした。なのでギルドから出た私は乗合い馬車へと向かった。



六花の霊峰へはミルトンから北の街道の先にあるシロッカと言う街から向かうそう。その街は山の麓に位置するそうで、山に入る冒険者は必ずシロッカの街を拠点にするのだとか。ちなみに冒険者が近寄らないのは雪が積もっている山の中腹より上だそうで、下の方、街に近い場所には薬草があるので薬草採取に入る冒険者がそれなりに居るのだとか。結構珍しい薬草が採れるそうで、私も時間があれば採取したいな~。あ、因みに私の目的地である滝は雪の積もっている中腹より少し上だったりする。



乗合い馬車に乗った私は順調にシロッカの街へと近づいていく。馬車に乗っているのは私を含めて8人程で護衛の冒険者さん達は外で馬で並走している。馬車内で隣に座ったおばさんから話しかけられた。


「お嬢様ちゃんひとりなの?」

「はい、依頼でシロッカの街まで行くんです」


私が冒険者だと話せば少し驚かれた。けど、この世界には子供の内から冒険者になる子も多いので頑張ってねと応援された。話し掛けられた時は一瞬緊張した。マトモな人そうだけど用心に越したことはないかな?ギルドマスターも気を抜くなと言ってたしね。


野営もそれなりに慣れたものでサクサクと準備をし、結界石を準備して睡眠をゆっくり取る。特に何事も無かったようで良かった良かった!


そして馬車は何事もなく無事に午前中にはシロッカの街に到着したのだった。






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