第69話 レグルス辺境伯家・4

「魔法契約....?」


とは何ぞ??


「これはある意味君を守る為の契約でもある。もし契約を結んでおけば、仮にどこかから涙花の情報が漏れたとしても君がバラしたと疑われない。魔法契約をした者はその内容を他人に話せなくなるからな」


ほほう。つまり、ドラゴンの涙花が六花の霊峰にある事を他言しないと魔法契約しておけば世間にその情報が出回っても魔法契約してる私は他人に話せる訳はないから無関係だと言う事が立証されるって訳か.....それなら契約した方が今後の私の行動を制限される可能性がなくなるんだから有りよね....。


「それはリンが依頼を受けようが断ろうがどのみちやらないといけない契約なんだろう?」

「そうだな....申し訳ないが....」


何だか面倒な依頼だけど聞いたからにはもう仕方ないと思う。どっちにしても魔法契約をしないといけないなら今更依頼を断わる選択肢は無いみたいなものだろう。


「わかりました。依頼はこのまま受けますし、魔法契約もやります」


私はきっぱりと辺境伯に告げる。やっぱりある場所がわかってるなら実物見てみたいし!それに何だか本格的に冒険者って感じの依頼じゃない?


「だ、そうだ。良かったなヘンリー」

「....有難いが....本当に彼女1人で大丈夫なのか?いや、実力がどうとかではく、やはり娘よりも年下の少女1人を六花の霊峰へと送り出すのは....」

「大丈夫大丈夫、まぁ何かあれば俺が迎えに行ってやるから。どうせ話を聞いたからには俺も魔法契約をしなきゃ駄目だしな、ついでだ」


ギルドマスターの説得もあり、私達はそれから先に魔法契約を交わし、その後更に詳しい詳細を聞かされた。


「" ドラゴンの涙花 " は六花の霊峰の中間に位置した場所に滝のある湖がある。その滝の裏側に洞窟があるんだが、その洞窟の中に咲いているんだ」

「滝の裏側の洞窟の中」

「そりゃあ誰にも見付けられない筈だな。まず滝の裏側に洞窟があるなんて思わないだろうからな」


更に六花の霊峰の中間層に行くためには魔獣の出る山道を通るしかないとの事で日帰りでは絶対に無理な事と、襲いかかってくる魔獣に関しては倒してしまっても構わないが、それ以外の魔獣は極力放置して構わないとの事。あくまでも霊峰は聖獣の為の聖域になっているので無闇やたらな血は流さない方が良いとの事だった。


確かに血が流れてるのって見るとあまりいい気分はしないよね。それに血の匂いに誘われて他の魔獣が寄って来ても困るしね。


「わかりました」


無限収納があるから最悪切ったらすぐ収納に入れたら血も流れないし一石二鳥かも。あ、そうだ。


「最後にひとつだけお聞きしたいんですけど」

「何かな?」

「時間的猶予はどれぐらいあるんですか?」


これだけは聞いておかないといけない。辺境伯は王女様が病に倒れたと言っていたがその病の治療に猶予があるのかどうか。それを聞いておかなければどれだけ急げば良いかわからない。


「.....第2王女の病は治療が遅れたからと言って死ぬ病ではない。だが病になった事で精神的にかなり参っている御様子だそうだ....なので早ければ早い方が正直に言えば助かる」

「.....わかりました。じゃあ明日にでも向かえるように準備しますね!ギルドマスターも六花の霊峰に行くのに必要な装備があれば教えて下さい!」


自分で調べるより、急ぐ場合はベテラン冒険者に聞くのが手っ取り早いだろう。善は急げ!


「....すまないが宜しく頼む」

「お任せください!」


いざ、六花の霊峰へ!




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