第50話 ふわふわの布団を作ろう・1
翌日、久し振りに薬草採取の依頼を受け午前中には終わらせてから、私は羽毛布団用の生地を見に布屋さんへと向かった。
布屋さんはギルドからは少し離れてるけと、人通りの多い大通りに面している場所にあるので迷子になる事もない。お店の中に入ると色取り取りの色んな生地が売っていて眺めているだけでも結構楽しかったりする。勿論冷やかしではないのでちゃんと買いますよ私は。
この世界には一応四季があるそうなんだけど、今の気候は暑くもなく寒くもない感じで、実際に冬がどれぐらい寒くなるのかは冬が来てみないとわからない。なので羽毛布団にする生地も厚めではなく、極々普通の生地で作ることにした。
まぁ、寒くなってきたら冬用の布団を作れば良いだけだしね。
作るのは自分の分とギルドマスターの分の2枚だ。布の色は個人の趣味があるだろうからギルドマスターには昨日晩御飯を食べた際に聞いてみた。
「ギルドマスター、明日話してた羽毛布団の布を買いに行くんですけどギルドマスターは何色が良いですか?」
「ん?布団の色か?......そうだなぁ、今まで特に色に拘った事はないが......強いて言えば緑とか黄色かな?」
ギルドマスターは考えながら答える。
「へぇ~、それってエルフだから森が好きだから緑色が好きとかですか?」
「いやそれは関係ないぞ。エルフでも黒が好きだって奴もいるからな」
「そうなんですね......」
ふむ。好きになる色に種族とかの傾向はないのか。まぁ当然と言えば当然かな。
「わかりました。じゃあ緑か黄色で良さげなのがあれば買ってきますね」
そんな訳で今現在ギルドマスター用の生地を探している訳だが.....。
意外とこれって思う生地が見当たらない。触ってみると結構ゴワゴワした感じで手触りがあんまりなんだよね.....ムムム.....
私が生地を前に悩んでるとお店のおばさんが声を掛けてきた。
「お嬢ちゃん何か探し物かい?」
「はい、あの.....手触りの良い柔らかい生地とかってありますか?」
「ああ、勿論あるよ。お嬢ちゃんが今触ってた生地は普通の平民が良く使う生地でね、あまり手触りは良くないんだけどその代わり色の種類だけは多くあるんだよ。柔らかい生地は少し割高になるから平民は滅多に買わないんだ。此方だよ」
おばさんはそう言って店の奥の棚の方へと案内してくれる。三段ぐらいの棚に所畝ましと生地が丸めて置いてある。
「ほら、一応うちの店で扱ってる品質の良い生地はこの棚からこの棚まであるよ.....そうだねぇ、これなんかどうだい?」
手渡された生地を触ってみると、さっきの生地とは比べ物にならないぐらい柔らかく手触りの良い布だった。
うん、この生地良いかも......。
「あの、この生地で緑か黄色と青色ってありますか?」
「それなら大丈夫だよ。えーっと....これとこれとこれだね」
机に広げられた緑色と黄色と青色の生地を見比べると、青色は私が好きな感じの色なので即決して、緑色と黄色....どっちが良いかな?ギルドマスターの全体像を思い出しながら考え出した結論は緑色だった。
うん何か緑色の方が合う気がする。
こうして無事に羽毛布団用の生地と糸も購入して
ホクホク顔で自室に帰ったのだった。
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