第49話 鶏肉なのか牛肉なのか?
コンコンとドアをノックし、返事があってからドアを開けると、メントスに行っていた間に貯まっていた書類を順番に目を通しているギルドマスターが居た。
「ギルドマスター」
「ん?ああリンか、どうした?」
「食事持ってきました。ホワイトバードの肉です」
「何っ!?」
言いながら無限収納からトレイを取り出せば部屋の中に良い香りが広がる。手にしている書類から、がばりとリンに視線を向けたギルドマスターは既にその香りで今にもヨダレを垂らしそうな顔をしていた。
そこまでか!?
流石に執務机の上に置く訳にもいかないので、ソファのあるテーブルの方にトレイを置き、ついでにお茶とカップも取り出すと、慌ててギルドマスターがソファへと座った。
「えーっと、メインがホワイトバードの肉を使ったホワイトバード角煮で、此方がホワイトバードの肉を入れたホワイトバード汁です。角煮の方はお肉の中まで味が染み込んでるのでご飯と一緒に食べると最高です。汁の方はお肉の他に野菜がたっぷりはいってるので食べごたえ有です」
ふんふんと頷きながら私の説明を聞くギルドマスターの目は料理人釘付けで心なしかキラキラしている。
「ホワイトバードの殆どを狩ったのはギルドマスターですし、食べる権利もあるので持ってきました。味は保証しますのでどうぞゆっくり食べて下さい」
「リン、お前は食べたのか?」
「いえまだです。先にギルドマスターに渡しに来ましたから」
私はこの後部屋に戻って食べる予定だ。冷めないように自分の分も無限収納の中に入ってる。無論、鍋に残ってる分も含めて全部だ。
「ならここで一緒に食べて行けばいいだろ?」
「え?.....でも邪魔じゃないですか?」
「いや?別に仕事の邪魔をしてる訳じゃないしな。それに1人で食べるより誰かと食べた方が楽しいだろ」
うーん.....そうだなぁ。確かにそれは一理ある。
勿論嫌な人と食べるのは論外だけど、ギルドマスターとはメントスの街に行くまでにも行ってからも一緒に食事してて楽しかったし....。
「じゃあ、お邪魔します」
無限収納から自分の分のご飯と角煮とホワイトバード汁をトレイの上に取り出して置くと、ギルドマスターとは反対側のソファへと座り食べ始める。
「美味しい!!」
「そうだろうそうだろう、ホワイトバードは旨いんだよ」
ギルドマスターが何度も頷いて肯定する。そして自分も旨い旨いと言いながら食べ進めている。
何これー!ホワイトバードメチャクチャ美味しいんですけど!!確かにこの味なら高級品として人気になるのも頷けるわ!鶏肉なのにまるで牛肉みたいなんですけど!!
いや、角煮作ってる時も不思議に思ったよ。ホワイトバードって言う鳥型の魔獣の筈なのにメントスのギルドで受け取ったお肉はまるで牛肉のようだったのだ。
え?ホワイトバードって鳥じゃないの?牛なの?
いやそんな訳がないし。
異世界の魔獣のお肉事情はどうなってるのかと疑問に思うリンだった。
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