第48話 ホワイトバードの角煮
要塞都市ミルトンへ帰ってきたのは既に陽も暮れかかった頃だった。冒険者ギルドでは依頼達成の報告に来ている冒険者でごった返していて、各々好きなギルド職員の女性の窓口に並んで居た。その中でも一際列をなしている窓口があったので視線を向ければこのギルド1番の美人だと男性冒険者に人気の職員の人だった。
......でも私この人好きじゃないんだよね
何故なら男性冒険者には凄く愛想が良くサービス過多なのに、女性冒険者相手だと対応が悪いんだよね。対応が悪いと言ったら語弊があるかもしれないけど、笑顔ひとつなく坦々として愛想の欠片もないんだよ?男性冒険者にはニコニコで愛想振りまくりで対応してるのに。
ようは男と女で対応を変える典型的なクソ女だってことだよね。
だから人の裏表を何となく感じる高ランクの男性冒険者は基本的に彼女を相手にしてないし、ちやほやしてるのは大抵がまだまだ中堅や低ランクの男性ばかりだ。
まぁ、そんなの読めない高ランク冒険者も中には居るみたいだけど。
あ、マリッサさんも忙しそうだ。
マリッサの窓口にもそれなりの数の冒険者が並んでいるが、此方は男女関係なしに並んでいる。
そうだよね~!マリッサさんは性別年齢関係なく親切だし美人だもんね!うんうん。
「じゃあ俺は執務室に戻る」
「あ、はい。色々ありがとうございました」
ギルドマスターと別れ、自分はさてどうしようかなと考える。もう既に夕方なので流石に今から依頼はないとして、夕食をどうするか。
やっぱりホワイトバード食べたいよね!
今からなら角煮あたりでも夕食の時間までには作れそうだしな~....ご飯にのせて食べたら最高じゃない?.....おっと、ヨダレが出そう.....
思い立ったが吉日とも言うし意気揚々と自室へと階段を駆け上がった。
「用意するのはホワイトバードの肉、葱のような葱、水、酒、醤油みたいな醤油、砂糖かはちみつ.....みりんで良かったよね?あ、でもみりんは此方の世界ではまだ見付けてないから支給品の日本産で代用」
手慣れた手付きでフライパンでホワイトバードの肉を多めに表面に焼き色が付くぐらい焼いていき、焼けたら丁度良いサイズに切り鍋に投入。1度30分程水と酒で煮たら1度煮汁を捨て鍋をさっと洗ってから再度肉と葱みたいな葱と調味料を全部入れて煮る。ひたすら煮る。途中で肉をひっくり返して両面に味を染み込ませるのを忘れない。
「よーし、完成!リンちゃん特製ホワイトバードの角煮出来上がり~!」
テンションマックスになっております。いや角煮作るのも食べるのも久し振り過ぎた上に美味しいと言われるホワイトバードの肉の角煮からメチャクチャ良い匂いがするんだもん。
後は煮込んでる間に作っていた豚汁ならぬホワイトバード汁。字面だけだと何か嫌だが、此方も味見だけでも最高に美味しかった。
角煮、ホワイトバード汁、ご飯を器に盛り、トレイに載せて無限収納に入れ、2階のギルドマスターの執務室へと向かった。
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