第37話 人を駄目にするクッション

「ふ....ふふふ.....完璧だわ...!」


どーんと部屋の中央に鎮座しているのは、これでもかってぐらい今までで1番頑張って作った" 人を駄目にするクッションもどき " だ。


手芸屋で見つけたカラーシープと言う羊の魔獣の毛が余りにももふもふしていたので寝転がれる大きめのクッションを作りたくなったのだ。

ちなみにカラーシープと言うのは毛の色が何種類もある羊だそうで、ノーマルな白色の羊もいれば、真っ赤な毛をした羊もいるらしく、用途によって使い分けられているそうだ。


私の場合は特に色の希望はないからお店にある物をありったけ買ったらお店の人に喜ばれた。カラーシープの毛は年中刈り取れるそうで大量に市場に出回るらしく価格も安いのだそう。


まぁ確かに個人でこんなに大量に買う人は居ないだろうなぁと思いながらも私は必要なので買いまくるんだけどね!


ぽすん


と、クッションにダイブしたらふんわりとした感触で身体を包み込んでくる手触りの良さに意識が持っていかれそうになる。


「あああああ~」


作って良かった。その一言に尽きる。

ぶっちゃけ、これ売り出したらスッゴク売れると思うんだけど作れるのが今のところ私しかいないから冒険者家業が疎かになる未来しか見えないので販売は諦めよう。


後はベッドの上に置く用のクッションも2個程、緑と青の色違いで作った。此方も中身はカラーシープなのでふわもこな手触りだったりする。


窓にも私が1番好きな青色のカーテンを掛け、床には同系色のラグも作った。余った生地で小さいがテディベアを作り、机の上に飾ってある。部屋の中はどんどん私好みの部屋になりつつあった。


「あとは羽毛布団に出来るような羽毛が手に入れられたら良いんだけどなぁ」


この世界の布団はハッキリ言って布団ではない。これ布って言った方が良いのでは?ってぐらい薄いのだ。中に何が入ってるのか見たくとも、流石にギルドの支給品を切るわけには行かないだろう。なので出来れば早急に羽毛布団を作りたい所存。


「......いっそ狩りに行っちゃう?」


羽毛布団に良さげな鳥型の魔獣の当ては図鑑で調べてある。ミルトンから南に2日程行った先に森があり、その中の湖に生息する水鳥でホワイトバードと言われる鳥だ。真っ白い綺麗な羽根をしている事から貴族にも人気のある鳥で、羽根の採取依頼もよく貼り出されている。けど、このホワイトバードはCランクの魔獣なのである程度実力のある冒険者しか手が出せないのだ。


「取り敢えず覗きに行くにしても2日掛かるのがネックだよね......転移でも使えれば楽に行けるのになぁ......」


時空魔法の適正を持っていても、おいそれと使える魔法とは流石に思っていない。しかも私が1度は行った事のある場所にしか転移出来ないとなると、結果的に今、転移が出来るようになっても、結局1度は足で行かないといけないんだよねぇ......


まぁ帰りは転移で帰れるんだと思えば楽なんだけど。








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