第32話 事情確認です・2
結論としては、女の怪我を身体を動かせるぐらいに治した後に王都に連行され処罰が確定されるそうだ。
冒険者資格の剥奪だけならミルトンの冒険者ギルドでも出来るそうだけど、今回の1件は余りにも悪質で刑罰の対象にもなるから冒険者ギルドの本部のある王都での処罰になるそう。
まぁこれ以上私に対して絡んで来ないようにさえしてくれれば、どんな処罰がされても正直どうでも良いかなって思う。
「そう言えばここってどこなんですか?」
「ん?ああ、ここはギルドの横に建ってる診療所だな」
「......その割には医者がいないように思うんですけど」
目が覚めてから医者も看護婦さんらしき人も一向に見掛けなかったけど。
「リンちゃん、ここは魔法医のお医者さんの診療所でね、今はその......リンちゃんを襲った冒険者の治療をしに行ってるの。治癒の魔法が使えるのが魔法医だから」
「へぇ~………そうなんですね」
こっちの世界ではお医者さんの事、魔法医って言うんだ。治癒の魔法が使えるって事は光魔法の属性を持った人なんだろうなぁ。
ちなみに水魔法の属性を持ってる人も治癒魔法を使う事が出来るが、小さな怪我を治せるぐらいのささやかな治癒しか出来ず、大きな怪我等は光魔法の属性を持った人しか治癒出来ないのだ。
「じゃあ怪我も直ったし私、自分の部屋に戻ります」
ベッドから立ち上がろうと床に足を降ろせば一瞬グラッと立ちくらみする。
「おっと、大丈夫か?」
「だ、大丈夫です」
「怪我は直っても流れた血は戻らないんだぞ、ほら部屋まで連れていってやる」
そう言いながらギルドマスターが背中を向ける。もしやこれはおんぶでは......?
「え、あの.....それはちょっと......」
「何だ?じゃあお姫様抱っこにしてやろうか?」
「......おんぶでいいです......」
流石にお姫様だっこはないでしょ!?わざとか!
究極の選択にせめてマシな方を選んだ。
「じゃあ今日は1日ゆっくり休むんだぞ」
律儀に私の部屋の前までおんぶの状態で送ってくれたギルドマスターはそう言って事件の後片付けに戻って行った。これから王都のギルドマスター達と魔道具を使い、打ち合わせするのだとか。......お疲れ様です。
「じゃあリンちゃん、後で夕食を部屋まで運んであげるからそれまでゆっくり休んでおくのよ?」
「はい。わざわざすみません」
「良いの良いの!起きてちゃダメよ?ちゃんと休んでてね!」
マリッサさんもそう言って仕事へと戻って行き、私は部屋に入ると軽くシャワーを浴びて寝巻きに着替えベッドに入る。
「......さすがに私でも今日は疲れたわ.....」
きっと魔法を沢山使ったからと言うのもあるだろう。
いつの間にか熟睡していたようで、マリッサさんが夕食を持って来てくれた事にも気が付かなかったのだった。
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