第31話 事情確認です・1

「やり過ぎだと叱りたいがその前にお前が無事で良かったよ......」

「リンちゃん良かったぁ~!!」


保健室らしき部屋から出ようかどうしようか迷ってる間に、様子を見に来たマリッサさんが号泣し、その叫び声に気が付いたギルドマスターが何事かと慌てて部屋へと入って来た。


「治癒を使える冒険者がこの場に居なくてな呼びに行かせてるんだ。取り敢えず応急措置としてポーションを患部にぶっかけたんだが止血程度にしかならなかったんだが......傷はどうした?」

「あまりの激痛に自分で治しましたがそれが何か?」


包帯を外した患部に傷跡ひとつ残っていないのを見てギルドマスターが胡乱とした視線で聞いてくるのに素直に答えるも、思いっきりため息をつかれる。


「どんだけ規格外なんだ.....お前は......」

「え~……」


だって痛いのを痛いままにしておくなんて無理だし!治せるなら治したいでしょ~


「良いじゃないですか、ギルドマスター!リンちゃんが無事だったんですから、誰が治したかなんて些細な事ですよ!!」

「お、おう......そうだな」


ギルドマスターを言い負かすマリッサさんて、もしかしてここの冒険者ギルドで結構上の方のひとりなんだろうか?それとも単にこの職場での女性が強いだけ?


......今度機会があれば聞いてみよう......


「それで話しは変わるがリン、俺を呼びに来た冒険者から簡単には話を聞いたがお前からも詳しく聞かせてくれるか?」

「構いませんよ」


私は自分が怪我をするまでの詳しい詳細を話していく。ついでに私が考えた今回の出来事の犯人の動機予想も付け加えて。あくまで私の想像だけどね。


全てを聞き終えたギルドマスターとマリッサさんは何も言わない。ギルドマスターはどうかわからないが、マリッサさんは言わないじゃなく言えないが正しいかもしれないけど......。だってもう顔が般若のように......


「......取り敢えず、犯人はお前が予想した相手で間違いない。お前の魔法を食らって重症だが生きてはいる」

「それなら良かったです、死んだかと思ってました。ちなみに私が犯人に魔法を放ったのは何か罪に問われますか?」


言質は取ってたけどこれだけは聞いておかないとなぁ...


「いや、前に攻撃されたら反撃しても良いと言ったのは俺だ。そもそも多数の魔獣との戦闘中に味方である筈の冒険者に対して先に魔法を放って怪我をさせようとした方に瑕疵がある。論外だ。お前のは完全に正当防衛だと判断されるだろう」

「それは良かったです、安心しました」


本当にね。

これで正当防衛にならないって言われたら逃げるところだよ?


「シーフウルフの群れに関してもどうやら魔香を焚いて呼び寄せたらしい。魔香の残骸が森に残っていたよ。こんな街に近い森で魔香を焚くなんて正気とは思えない行動だ......彼女らは恐らく冒険者資格剥奪は間違いないだろうし、その上に更に重い刑罰が下るだろう」


彼女ら?あの女の単独犯じゃなくて他の取り巻きも一緒だったか~……


「ギルドマスターが前に話してたBランクの冒険者パーティの人達は今回の件には無関係だったんですか?」

「ん?ああ、ルーク達は俺に最後通告を受けてからは真面目に依頼を受けて取り巻き達からも距離を取ってたみたいでな......今も護衛任務でこの街には居ないんだ。帰って来たら一応話しは聞くことになるが、今回の件には恐らく無関係だろう」


そうかぁ......真面目に冒険者活動するようになったんだねぇ。Bランクパーティにまで実力でのし上がったんだから馬鹿ではなかったって事かな?












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