第7話 洗浄
少女は金髪のショートカットで、碧眼のエルフだった。
耳が長く尖がっており、目が大きくて、少々泥などで汚れているがすっごい美少女だ。
――後、胸がかなり……いや、とんでもなく大きい。
そのせいか、どうしても其方に目が行ってしまいがちだ。
何とか我慢しないと。
「ありが……とぅ……ござ……」
「あ……」
少女は僕にお礼を言おうとして、そのまま気絶してしまった。
よく見ると、全身傷だらけだ。
着ているワンピースの様な衣服も、ボロボロになっている。
僕は慌てて彼女に駆け寄り、その上半身を抱き起した
「ん?注射の跡?」
僕は彼女の生傷だらけの腕に、注射の針を刺した様な跡が付いている事に気付く
それと近くで見て気づいたのだが、ボロボロの服は逃げる際に汚したと言うよりも、少し年季の入った汚れ方をしている様に思える。
……匂いも少し酷いな。
女の子はいい匂いがするって幻想を、見事に打ち砕かれた気分だ。
「エルフはゲームなんかだと自然と共に生きるって設定だし、この世界のエルフもそうなら汚れててもそんなにおかしくはないか。でも、この注射の跡は……いや、詮索は止めよう」
女の子に対する詮索など、失礼極まりない行為だ。
もはや陰キャを卒業した僕は、クールにその辺りを流す事にする。
……うん、鳴らないな。
どうやら心の中で格好つけても意味はない様だ。
「取り敢えず……傷を回復させてあげるべきだよな?」
少女に大きな傷はないが、擦り傷なんかは手足に目立つ。
彼女が目覚めた時に「余計な世話だったかもしれないが、怪我は治しておいた」とか言ったらカッコいいに違いない。
幸いポイントも増えている事だし、この際だから回復魔法も覚えてしまおう。
「んじゃ、ロウヒールを……と」
取得は10ポイント。
回復魔法としては最下級に当たる魔法だけど、軽い骨折ぐらいまでなら回復出来る魔法となっている。
「我に癒せぬ物など無い……これが奇跡だ!」
呪文を詠唱した後――詠唱の意味は良く分からない――格好つけた台詞を付け足し僕は魔法を発動させる。
そしたら僕の狙い通り『ピロリン』と例の音が響く。
塵も積もればなんとやらだからね。
セコセコIPを稼がせて貰う。
「これが魔法を使う感覚か……」
寝かせた少女に手を翳すと、その直下部分の傷が見る間に癒えていく。
魔法を使ってる間、体から何かが抜けていく感じが続いた。
たぶん、これが魔力を消費する感覚なのだろうと思う。
「こんなもんか」
注射の跡も綺麗さっぱり消えてしまったる。
さっすが魔法さんだ。
「しかし……やっぱ匂いが気になるよな」
いくら可愛くておっぱいが大きくても、臭いのは流石に敵わない。
ここでバイバイするならそれでもいいんだが、魔物の居る世界で気絶したままのエルフ少女を森に置いて行く訳にもいかないし――最寄りの街位までは追ってやらないと。
かといって臭いから、水で――インベントリから出す――体を洗えとも言い辛い。
と言うか絶対言えない。
「ポイント使って、それ用の魔法を覚えるか……」
ちょっともったいないが、流石に臭すぎる。
3ポイントの生活魔法にある、
効果は風呂&洗濯効果だ。
「不浄よ!消え去るがいい!」
覚えたクリーンの魔法を早速唱え、イキリをトッピングして発動させる。
『ピロリン』と音が鳴り、イキリ達成。
エルフ少女の体が光に包まれ、綺麗に――
「ほぁ……」
この子の肌、滅茶苦茶綺麗だ。
汚れてても美少女だったが、肌が綺麗になった事でその美しさは3割マシ。
思わずため息が出てしまった。
「肌の綺麗汚いで、こんなにも差が出るのか……」
そりゃ女性が、肌コスメどうこう言う訳だ。
まあ取りあえず匂いも消えたし……彼女が目覚めるまで、IPで交換できる物でもチェックしとこう。
現在は60ポイントで、50ポイントの物も見れるようになってるしな。
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