第20話

 目覚めたら教室……でもない、屋上のベンチだった。

 夕暮れ、でもない。ボクは友人の肩を借りて眠っていたよう。

「起きたか?」

「あぁあれ?」

 寝ぼけたボクに友人は視線すら向けずに読書に勤しんでいる。

「教室で起きたら、妙な二人組に出会って、君たちはホーリィ&ゴーストなのか、それともボニーとクライドなのかを尋ねようとしたら、流れ弾に当たって、異世界転移して、討伐依頼の魔王を倒すべくレベリングをしていた時にトラックにひかれて、異世界転生して、スローライフを謳歌すべく広大な土地と何でも出来るチートスキルで開拓無双している最中に過労で倒れて死しんでしまって、異世界転生して、真っ白い空間で神様みたいなお爺ちゃんに、お前は百一回死ぬ気か?って割とボケなのかツッコミなのか判りにくい事を言われて傷ついたから、異世界転移して、ここにいるけど、ここは何周目の世界?そして、転生王に俺はなれた?」

「一回目だ」

 友人は簡潔に言う。

 忍び込んだのだろう野良猫がボクら前をテトテトと歩いていく。そして立ち止まって一鳴きすした。多分、馬鹿にされたのだ。

「転生王って、転輪聖王のことか?」

 たぶん、友人にも小馬鹿にされたが、ボクは笑った。

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