第19話

 夜の小学校は、どうにも不気味だった。

 だった、というのは「夜」にもう慣れてしまえば小学校は、ただの小学校。まぁ、そこに何故か動き回る光線が見えれば別だ。

 あ、泥棒かな?

 深夜徘徊上級者のボクくらいになると、それが悪意あるものか、もしくは警備のおぢさんかが判ってしまう。

 ボクが歩いている路から見える校舎で動き回っている懐中電灯らしき灯りは、部屋の中を物色するように照らしていない。

 つまり、目的を持った人間が懐中電灯を片手に歩き回っているのだ、校舎内を。

 怖。推理という名の妄想した状況が怖。迷推理をした自分が怖い。

 やっかいごとには巻き込まれない、それが人生で一番大事なことだと思っている。

 それなら深夜徘徊をやめろと言われるし判っているが、やめられない止まらない河童なエビせんな訳だ。

 流水のような妄想はさておいて、まぁ、多分忘れ物をした児童の送り迎えしている警備のおぢさんだろう。

 ボクの妄想話をした友人曰く、プロは灯りが漏れないようにした電灯を使うだろう、とのこと。

 なるほどー、と納得した。いらぬ一言「予備軍はちがうっすねー」と、頭を優しく小突かれる。

「でーぶいだー」と声色が上がったボクの批判に、友人は不思議そう顔。

 思い出して、少し足取りは軽くなった。

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