第16話
夕暮れはいつも眠い。
お使いや帰り道で通る商店街、客引きや「何処に行きますか」と相談する背広、値引きを狙い彷徨う主婦、ゲームセンターに向かっている学生服を見ると、なんでそんなに元気なんだ皆と絶望した気分になる。
放課後間際、唐突に睡魔に襲われ机に突っ伏したボクは、目覚めてから別種類の絶望感に襲われた。
真っ暗な教室に独り。
友人は用事があるので、先に帰ると聞いていた。
え、もしかしてボク以外異世界転移した?それとも、学校ごと魔界に転移。いやはや、なろう系かジュブナエル系か。
寝ぼけた思考のまま、自分の鞄に荷物をつめる。
一応、確認をするために窓の外を観ると、朱色に染まったいつもの町がある。
よし、帰って布団で寝れるな、と突っ伏したせいで堅くなった体をほぐす伸びをした。
猫背に戻りながら廊下にでると、銃声が聞こえた。
「は?」
甲高く耳を劈く破裂音。足下のコンクリートには穴があいていた。思考がはっきりしてくると、廊下の電灯も消されている。
「動かないで」
冷静な声の主は、大きな拳銃を両手で構えてボクにつきだしていた。
映画ように両手をあげる。
ゆっくりと近づいてくる主は、ピンクと茶色のツートン髪の少女だった。
ボクの容姿に気がついて違和感を感じた少女は、耳に片手をあてて誰かに連絡を取り始めた。
「ちょっと、民間人が紛れ込んでるんですけど?」
「……はぁ?」無線の相手に、ご機嫌ななめのご様子。
「手は下げても良いですか?」とボクの間抜けな声。
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