第15話

 コアラ……、悪魔はさも数十年来の知り合いの如く現れた。

「どういうことなの?」

『えー、何がでしょうか』

 心当たりがあるらしく、低姿勢。

「色々とボクのことを触れ回っているらしいじゃないか」

『えー、そのことに関しましてはですね、お酒の席が色々とありまして、少々ですね、大きく伝えすぎたこともありまして、お前……』

 「お前?」、聞き捨てならないとボクは悪魔を睨んだ。

『えー、貴殿のことをですね、教えろ、という圧といいましょうか、願望熱望切望の視線と酌も手伝いまして、その様なことになり、大変ご迷惑をおかけしたこと、深く、ふかく陳謝したいと思ってはおります、はい』

 思ってはいる、つまり、謝らないという解釈でいいですね、いや、一応確認しておこう。

「なるほど、つまりは?」

『謝らないよ』

 悪魔か!?……あぁ悪魔か。と、ボクは歩を早めた。

『だって悪魔が簡単に謝ったらダメでしょうがぁ、歩くのが早いよ、ちょっと待ちなよ、ごめんなさい、まって、ごめんなさい』

 謝るのはっや。歩みをゆっくりにしてコアラが追いつくまで待った。

「謝れはするんだね」

『お前さぁ、いい加減にしろよ。大変なんだぞ、向こうは』

「ほう」

『翼龍公を唆したろう?』

 「ヨクリュウコウ?」とオウムになったボクに悪魔はわざとらしいため息。

『駆け落ちをふっかけたろうが』

 あぁ、と思い出す。

『その苦情が僕のところにくるんだぞ、差し引き謝らないになるだろう』

 と、鼻息荒くお前を庇ってやってる感をだしてきた。

「いや、自業自得じゃないかな」

『え?』

 ボクの真顔に傷つく悪魔がいた。

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