第11話
今晩も凪だった。
ただそれは、ボクが汗をかいている理由にはならなかった。
超絶美形という四字熟語がこの世に存在するなら彼のことをいうのだろう美少年が、手を振っている。
とても不機嫌な顔をして、深夜の自動販売機前で。
孤独に飢えた人間ならば、ホイホイとついて行ってしまいそうな、或いは捕食者になろうとしてしまうくらいの美少年。
眼の下の隈が目立つ。そして、瞳は深い真紅。自動販売機の灯で出来た姿影は、夜を身に纏ってるようにもみえた。
「アンタが夜歩き?コンバンワー」
怠そうでどこか不遜な口調。ギャップ萌でも狙っているのだろうか。
「はぁ、どちら様でしょうか?」
「まぁ、気にしてくれるな。
人を食ったように笑う鋭い犬歯がみえた。と、霧のように闇に溶けて消える。
吸血鬼?!
ボクが驚いていると、吸血鬼っぽい彼は近くの塀の上に座って現れた。
「猫みたいなコアラな悪魔に、聞いてさ。見たくなったんだよ」
「見せ物ですかボクは?」
「確かにあの悪魔の方が見世物みたいだもんな」
あのコアラは仲間内ではイジられ側の方らしい。
「うん、解釈一致」
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