第8話
校内の自動販売機前にあるベンチ、友人の隣に座って空を眺めていると数人の女子が友人を隠し撮りしているのに気がついた。
携帯電話にカメラ機能がついてから、犯罪予備軍の欲望がお手軽に叶えられてしまう時代なったのだ。をぉ、なんと嘆かわしい。
ゲームの中の王様になった気分。「おぉ勇者よ、死んでしまうとは情けない」と心中でBGMが流れはじめたが、すぐに飽きた。
と、横を見るとその大人気の友人は黙々と本を読んでいる。
「図書室で読めばいいんじゃね?」
頁が一枚めくれる。
「図書室は昼休みは、うるさいだろ」
「まぁ、温度管理が完璧すぎるからな」
夏は涼みに冬は暖をとる学生の浅ましさを具現化している。
「それに図書室なんぞ、行かないだろ」
「え?ボク?うん、行かない」
「なら、ここでいいだろ」
なるほど、とボクは唸った。
「ボク以外に友人はいないの?」
「……、そっくりそのまま……」
「ゴメンナサイすいませんでした二度とナメた口ききません」
早口のボクに、友人は笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます