第8話

 校内の自動販売機前にあるベンチ、友人の隣に座って空を眺めていると数人の女子が友人を隠し撮りしているのに気がついた。

 携帯電話にカメラ機能がついてから、犯罪予備軍の欲望がお手軽に叶えられてしまう時代なったのだ。をぉ、なんと嘆かわしい。

 ゲームの中の王様になった気分。「おぉ勇者よ、死んでしまうとは情けない」と心中でBGMが流れはじめたが、すぐに飽きた。

 と、横を見るとその大人気の友人は黙々と本を読んでいる。

「図書室で読めばいいんじゃね?」

 頁が一枚めくれる。

「図書室は昼休みは、うるさいだろ」

「まぁ、温度管理が完璧すぎるからな」

 夏は涼みに冬は暖をとる学生の浅ましさを具現化している。

「それに図書室なんぞ、行かないだろ」

「え?ボク?うん、行かない」

「なら、ここでいいだろ」

 なるほど、とボクは唸った。

「ボク以外に友人はいないの?」

「……、そっくりそのまま……」

「ゴメンナサイすいませんでした二度とナメた口ききません」

 早口のボクに、友人は笑った。

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