第18話

 いつもの帰り道、私は田中君の事を考えていた。

 若さって凄いなと感じる。

『これから居酒屋でバイトなんです』そう言って彼は帰っていった。

 話を聞くとどうしても買いたいものがあって、でも、どんなに働いても手に入らないんです。

 そう、彼は言っていた。

 若いから買いたいものがあっても使っちゃうのかな?

 一体何が欲しいんだろう。

『彼女はいません』なんて言ってたけど本当かな格好いいのにもったいない。

 私だったら・・・・・・何を考えてるんだろう私。

 自然に歩くスピードが速くなる。

 私だったら放っておかないのに。

 歳が近かったら。

 同じ高校だったら。

 結婚していなかったら。

 考えたくもないことが頭の中でよぎる。

 彼の笑顔が見たい。

 ふと、そう思った。

 会って一日しかたっていないはずなのに、まるで昔から知っているような不思議な感覚。

 気がつけば胸の鼓動が早くなっているのは何故?

 もう、恋なんて歳じゃないのは自分が一番わかってるじゃない。

 それなのに何で。

 何でもう彼に会いたくなっているの。

 足を止めると、もう自宅の前についていた。

 私・・・・・・何でこの家にいるんだっけ?

 彼に早く会いたい。

 今日は早く寝よう。

 職場に行ったら彼に会える。

 早く会いたい。

 私は家のドアをゆっくりと開けた。

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