第4話 熱にうなされ……

次の日の昼ごろ……咲は帰ってきた。

ガチャガチャ……キィー。


当然、咲は俺が居ないと思っている。

キッチンへと向かった咲が……

俺のを目の当たりにする。


それから咲は、掃除を始めた様だ……。



俺はと言えば。週末の大事な取り引きを前に熱にうなされていた。


朝に、何とか会社へ電話をし、

タッグを組んでいる期待のルーキーに要件を事細かに伝えたのだ。



俺は、『……』

と一言添えたが。期待のルーキーは、ここぞとばかりに


任せて下さい!と言わんばかりの勢いがあった。



『娘さんにになる様、務めます!』



俺は安堵の中再び眠りに落ちた。





誰かが帰ってきた……あぁ咲か?



俺は高熱にうなされながらも、

咲に逢いに行こうと、ベッドから起きた。




ノドがカラカラで、お腹も少しだけ空いてきたのだ。



助けてくれ!気が付いてくれ!


俺は心の中で叫んだ!




階段を登ってくる音が聞こえた時は、安心の余りに体中の力が抜けた。


俺は、その場に倒れると



と大きな音が家中に響いた!



段々と気が遠くなる。

ノドが焼け付く様だ……誰か、


助けてくれ!



気が遠くなる頃には、咲が俺を呼んでいた。




あぁ。咲……





目が覚めると……見覚えのない部屋に居た。


横を見ると……涙を流しながら

咲は俺を心配そうに、手を握っていた。



咲は、自分を責めた。




『お父さんごめんなさい!!』



看護婦さんが、咲の押したナースコールで飛んできた!



俺は意識がもうろうとしている中で、看護婦の話を聞いた。



『石井さん?!意識は大丈夫ですか?』



『…………う。……あ。』

声が出ない。


看護婦さんは、慌ててドクターを呼びに行った!



娘の咲は、とても不安げな表情をしている。


娘の婚約者、かーくんとやらも

隣に居た。



『お父さん!大丈夫ですか?

ホントに無茶し過ぎですよ?!

あと数分遅れてたら大変な事に

なってんです!!』



俺は、周りの人達が慌ただしく動き出している意味が分からなかった。




ドクターが部屋に飛んで入って来ると……呼吸を整え出し、俺に

をした。



『石井さん??貴方は後どれほど生きられると、お考えですか?』



『?……あ……う、……?』



『残された時間は、1週間です。

発見がもっと早かったら。』



途端に咲が嗚咽を漏らして泣きじゃくる。


俺には、到底、理解不可能だった。




青天の霹靂とは……こういったことか?





『貴方の病名は…………








     末期癌です。』

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