第9話 アキちゃん大勝利

 放課後2人で猫神社、サンマを焼くと無事にネコ神が現れる。

「本当にすみませんでした。やりすぎました」

 初手が肝心、土下座である。

「許す。アキ、ハル。こちらこそ昨日はすまなかった。だが、どうしてもワシの仲間を救ってほしかったんじゃ」


 ネコ神は小難しい感じでだが、丁寧に説明してくれた。

 ネコ神の仲間を助ける為には、私に闇を祓わせるしかないこと。

 その為に、ハルネズミで脅迫しようとしたこと。

 そして、ハルネズミの件をきちんと謝ってくれた。


 私はネコ神の助けに応えることを決めた。悪いヤツでは無さそうだしね。

 闇を祓うことを約束し、いつでも魔法少女に変身出来るようになった。


 清掃委員になって闇を祓う。

 放課後トイレで密かに変身し、薄着の恰好は、体操ジャージを上に重ねて隠し、清掃活動に励んでいる。


 ハルネズミは魔法少女の願いの一部らしく、私が変身すれば頭の上に来てくれるようになった。だから、みんなの前からハルが突然消えないように気を付けてる。

 ハルネズミと私は互いに頭の中が分かるのだが、いい事ばかりでもない。私の妄想を覗かれたり、ハルがイヤラシいこと考えてるのも分かってしまう様になって、一長一短である。


 で、これを活かそうと知恵を絞った結果、魔法少女勉強会が誕生した。

 今、私は魔法少女姿で正座し、ハルネズミ先生に数学を教えてもらっている。

 「ハル、平方完成ってなにさ?学校でしたっけ?」

 「あー、2乗の形を作って、帳尻合うように最後に引いてやるんだよ」

 「うんうん、わかった、でもこれ意味あるの?」

 「ん、これを使ってアーしてコウするとジャーン」

 「解の公式って自分で出来んの!ハルって天才なん?」

 ドヤ顔がひどいハルネズミの頭を撫でてやる。


 ハルネズミの目を見つめる。目を細めていたハルと目が合う。

 うん、大丈夫。鼻から息を吸って、ぽんとハルネズミをベッドに置いて変身を解く、制服姿の私とハルで向き合って

「私、ハルのこと好きだから、これからもずっと一緒にいてください」

 まっすぐに伝える。

「もちろん喜んで。俺さ志望校もう一段上げるけど、ついて来てくれるかな?」

 いきなりの告白だったが、さらっと受け入れられた。で、今でも必死に勉強してるのに鬼畜な返事をしてくる。

「が、頑張ります」

 ぜんぜんイメージと違う、ガッデム。


 翌朝、階段を駆け上がる。私は酔っ払いの様にネコ神相手にグダをまく。あいつは幸せはお腹いっぱいなんでと聞いてはくれないが。


 まあ、アキちゃん大勝利です。ブイ!

 めでたしめでたし。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アキとハル~魔法少女は幼馴染と迷惑な幸運に挑む~ 由兵衛(よしべえ) @you_hey_cool

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画