40、噴水博覧会 1

絶対。

絶対と言う言葉の意味合いを前世では履き違えていた。

言葉として軽く使っていた。

絶対は絶対なのだ。

断ること☓。

拒むこと☓。

偽ること☓。

そんな絶対な条件の会に招待された。

生徒多数参加で学園からバスではなく、貴族用の相乗り馬車に乗り、大きめな会場に到着。

王宮楽団員による演奏会を聴き流す。

王宮騎士団員による武会を流し見る。


その後は……その楽団員や騎士団員との交流……。

これは、お見合いパーティか?と思うような会だ。

あちらこちらで交流が始まっている。

まずは食事と、立食で舌鼓中。

すると、今日はストレートの先だけウェーブな、ストレート女子が扇子隠しで声をかけてきた。

「ご機嫌よう。モーレイ様はこの会の趣旨をどう捉えてあられます?」

こちらも扇子で口元を隠す。

だが、咀嚼のモグモグを隠す要素入りで、片頬に食べ物を寄せ、懸命に無表情を保ち返す。

「……貴方の考えとしては?」

高速モグモグ咀嚼開始。

「はい。私は……交流会を兼ねたお見合いと思いましたわ」

ゴクンっと間に合った。

「同意ですね。……そうですね。貴方は、彼らをどう捉えてます?容姿が良い?目の保養?懇意にしたい?あわよくば婚約?どう思われますか?」

その言葉にストレート女子や取り巻き達が少し恥ずかしそうに扇子で顔を隠す。

「……直接過ぎますわ。……学生とは違い、地に足を付けている方々ですもの、それは……少し……ね……モーレイ様?」

「こちらは美味しかったので、乗せますわね。苦手なものはありました?なければ、これとこれも……あちらで話しましょう」

オススメを皿に乗せ、ストレート女子や取り巻き達に渡し、あちらで、と座る場所を確保しに行く。


壁際にあるテーブルに色々を乗せた皿を置き、給仕にお茶を準備させ、お茶が揃ってから話し始める。

「私として、主催者の全ての思惑までは測りかねますけれど、そう捉えたのなら良いと思いますわ」

「でも……」

「ほら、ご覧なさい。あちらの強面騎士は、女性が近寄り辛いですが、胸筋等がハッキリと分かる立派な体格、指のタコから見ても騎士として上位でしょう。あちらの楽員は、表情は乏しいですが、演奏は優雅で完璧でした。あちらの女性が集まっている方は、騎士なのに腕が細く、剣を振ることは難しそう。その横で女性を集めている楽員は、何度も間違えておりましたわ」

そう言うと気付いていなかったのか、あちらこちらを見回し始めた。

「……なんと言うことでしょう。気付きませんでしたわ」

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