39、歌劇団の功績

前世で女性ばかりの歌劇団の写真を見たことある。

濃い目なバッチリ化粧で、男性も女性が務めるアレだ。

前世のクラスメイトがそれにハマって写真集を買っていた。

それを見せびらかしながら、ワキャワキャ騒いでいた。

先日のパーティでのシェルの男装は、そこからヒントを得ている。

で、前世のクラスメイトが一推ししていたのは、男性パートばかりやる役者だった。

SNSですっぴんも出してるけど、かっこいいの!

ほらコレ、韓流の細面が流行ったのは、この劇団の下地があったからに他ならない!とか、豪語していたような気もする。

まあ、そんなののおかげで、あのパーティを乗り切れたから、そのクラスメイトに感謝していたりする。


だが、この状況はちょっとどうかと思う。

あれから、情報が広まったのか、婚約者を決めていない学生たちが従者を男装させることが増えた。

この学園に通う大多数は貴族でその従者は、大抵見目よく、礼儀作法も完璧。

しかも学生のような緩んだ甘さもなく、従者の矜持もあり。

兎に角、格好良い男装が多いらしい。

稀に可愛さ重視の男装もあるが、それもあり……らしい。

最終的に何を言いたいのかというと。

只今、男装従者ブームらしい。

化粧などの装飾はないが、元が整っているからと、イケメン従者があちらこちらで爆誕しているらしい。

ストレート女子からシェルの男装再演を望まれているなどと、教えてもらったりした。


だが、この状況はとある問題を解決してくれた。

女子の婚約者探しが落ち着き、学業等に精を出すようになった。

すると、今まで集まっていた女子を選り好みして、さばいていた男子が己から動かなくてはいけなくなった。

しかも、ライバルは男装の従者達。

男装従者は、所作もマナーも対応も全てがほぼパーフェクト。

己の幼さを目の当たりにして、男子も学業等に精を出し始めた。

特に男装従者が手を出さない剣術、体術に切り替えた男子が増えた。

ということは剣術、体術授業での訓練相手が増えたのだ。

同じ相手ばかりでは、相手の動作を覚えてしまえば対処出来るというもどかしさが常に付き纏っていたが、それがなくなった!

人が増え、互いに刺激し合い、向上していく好循環。

実地で鍛えている私に敵う好敵手はまだいない。

だが、様々な手を見ることが出来るのは、最高の授業としか言いようがない。


ちなみに男装従者でのパーティ出席は禁止する案はもちろん出た。

だが、学園としての今の状況は、学園機能としての水準向上に繋がり、その案は却下。

のちに社交授業の人数減少により、社交授業が合算や縮小になった。

学園がまともな学園になってくれた。

シェルの男装によって。

〇〇歌劇団ありがとう、貴方方の功績だ!

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