21、再びの姉弟
赤子は親の腹の中に十月十日いるという前世の情報はこちらでも一緒だ。
だが、双子以上の多胎妊娠は十月十日ではなく、その二ヶ月前位に出されるらしい。
一人でパンパンなお腹の中に二人以上いるのだから、それは早く出してあげなければ、母親も中の子供も苦しいだろう。
そんな訳で、我が家の双子は、早く出てきたので、幸いにも一つ違いとなり、今年度から学園へと入学した。
アンが借りている個別実習室へと入ってきた双子は、今日も机に体を投げ出した。
「もー、いやー」
「ああ、疲れる」
これは、学業からの嘆きではない。
二人にも来てるのだ、あの煩わしい色々が。
「二人の可愛い目が隠れてほしくないから、モノクルへ変更可能かとお願いしてて遅くなったけど、ようやく先程届いたの」
そう言いながら、突っ伏した二人へとモノクルを差し出した。
アンがかけている特定認識疎外眼鏡の更に最新式へと変貌したモノクル型特定認識阻害眼鏡。
この二人は、家柄良しのイケメン枠らしく、ひっきりなしに声をかけられてるようで、入寮時から辟易しているのを見て、アンがシェルへ頼んだ。
「デュプルには、緑の装飾。ダブリュには、茶の装飾を使ったけど、これでいいかしら?」
兄のデュプルは、木属性なので植物の扱いがうまいが、静と動の動の方でいつも気力が溢れているから、こうも元気がないと心配になる。
弟のダブリュは、土属性でいつも落ち着いているから二人でいると兄と間違えられる位なのに、机に突っ伏している姿は心配するしかない。
「「えっ!」」
「あら、イヤ?」
「「違う違う、凄くいい!!」」
二人は目の前に置かれたモノクルをじっくり眺め、触り確かめた。
「良かった。着け慣れるまで少しかかるかもしれないけど、アレからは逃れられるから、少し我慢して」
水鏡を出現させ、試行錯誤しながら顔に装着している二人を眺める。
うーん、どう見ても可愛い。
ふっと、自分の辞書にはカッコいい(イケメン?)という単語はないのかもと思ってみたりする。
いや、シェルはカッコいい美人枠だ。
であれば、そのカッコいいをこの二人に……無理だ。
可愛い、どうやっても可愛いしかない。
おっ、それならば父は?おじいさま達……あれ?可愛いな。
世間的にはイケオジ枠扱いな、お三方だが可愛い。
なら、話に聞く元クラスメイトの王子とかは?
パーツ配置が整ってるとは、思うが可愛いとも全く思わない。
うーん、あれか?なら自分は百合枠か?
いやー、ないな。
まあ、そんなのは置いといて。
可愛い身内が可愛くモノクルと格闘しているから、手を差しのべねば。
二人のモノクルの装着を手伝う為に、立ち上がった。
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