第2話 Doubtful

 「ゑ?」

 「だから、付き合おって」

 「ええええゑゑえ」

 かがわはこの時、筆舌に尽くし難い気持ち悪い顔をしていた。

 「え、ちょっとそういう冗談いいって」

 「え、冗談じゃないよ笑笑笑笑」

 みきおはかがわのこの感じを思い出して、愉しく笑っていた。

 そういえば高校生の頃の私はかがわ好きだったな。二つ上なのに、貫禄全然ないし。でも、なんでこんなに信じてくれないんだろう。

 みきおは再びかがわに声をかけようとした。しかし、それよりも早く、


「もうそういうのほんといいって」かがわがさっきよりも不愉快そうにそう言った。

「ほんとだって」

「まず、そもそもネネコス※1で話してる時点で」

「あ、気づかなかった」

みきおは、ネネコスで喋っていることをすっかり忘れていた。

「でも本気だよ、ならネネコスじゃなくて他のところで喋ろー」

「JIN TALKでも、なんでも」

「…分かった」

そしてらみきおとかがわは別のアプリに移動し、話を続けた。

「私、2つ上なのにフランクに話せるし、面白いかがわが好きなんだよ」

「どうせ、馬鹿にしてんじゃないの」

「何で、そういうこと言うの?本当なのに」

「でもさ…」

中々信じてくれないかがわにみきおは数十分話し続けた。そして、


「じゃあ今付き合おうよ、かがわ」

「…分かったよ、俺もみきおのことが好きだったよ」

「ありがと、ねえかがわ」

「これから、死にたくなるくらい辛いことがあっても私はかがわの味方だから、ちゃんと相談してね」

「分かったょ」

「よし!いい子だね!かがわ」

「ひーん」

それにつられてみきおも「ひーん」と言った、その刹那…


ビリリリリ…


気づくと、みきおは現在住んでいたアパートにいた。スマホの日付を見てみると、2027/05/10と表示されていた。戻ってきている…!そうだ、かがわは…?


その時、みきおの携帯に前は知らなかった人物から、メッセージが届いていることに気がついた。


BOND※2を開くと、「結局、みきおも裏切り者だった、死ぬばいばい」と届いていた。


「は?」




※1 Neo Net Communication Spaceの略。ハピネスブルー社が提供している、ハピネスブルーと言うアプリで、アプリ内のフレンドと話せる機能である。


※2 無料メッセージアプリで、主に個人間のやり取りで使われる。

 

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ネッ友レスキューズ 有栖川龍輝 @Arisu_gawa

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