ネッ友レスキューズ
有栖川龍輝
第1話 Reborn
中学の頃、ネットで繋がっていたかがわが命を絶ったらしい。思えば、中学の頃が全盛期だった。今は飲食店の社員として毎日を浪費して生きる日々だ。そんな生活に嫌気が差していた。
その日は、初夏に入ろうとしていて、少し暑い夜だった。みきおは閑静な住宅街に入り、住んでいるアパートに向かっていた。みきおはこのつまらない人生が続くのかとネガティブな気持ちで物思いに耽っていた。
物思いに耽っていたからだろうか。みきおは後ろから近づく不審な影に気づくことができなかった。グサッとみきおの背中に包丁が刺される。背中から刺されたその包丁は左胸を貫通していた。
「私死ぬのかな」そう一言だけ呟いたみきおの命は尽きようとしていた。その刹那…
ビリリ、電流が流れたかの様にみきおは感じた。
気づけばみきおは旧型のiPhoneを触っていた。そして、懐かしい声がその機器から聞こえてきた。
「ねぇ、みきお〜」かがわ?!私は死んだはずのかがわの声が聞こえてきて、これは走馬灯を見ているのだと思った。
「ねぇ、みきおってば〜」 「…かがわ?」
「そうだょ」この独特の喋り方を聞いて、みきおは混乱した。
いくらなんでもリアルすぎる。そう思って自分の頬を叩いてみると、痛みを感じて、みきおはようやく自分が過去の世界に来ているかもしれないと思った。
「ねえ、かがわ、今日何年の何日?」「とういうことだょ、今日は、5月10日だょ」「何年?」「今年は2020年だょ」
7年前の今日に戻ってきている。確か、この1週間後に、私はかがわに告白されるんだ。
「ねえ、みきお〜」「ねえ、かがわ」「ん?」「私、かがわと付き合ってもいいよ」
とりあえず、かがわが死なないようにしよう。そう思った故、みきおは思い切ってそう発言した。
「ゑ?」
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