第49話 大赤見との戦い
大赤見が振りかざした攻撃を、私が受ける。
流石に力が強い。無理に力であらがおうとせず、少しずつ後退しながら大赤見の攻撃を受ける。
「ほう、さすがに普通の妖怪とは違うのう。力任せに殴るだけがのうじゃないって、わかっとるな」
「当然だ!」
「まあ、本番はこれからや!」
そう言うと、大赤見はおおきくステップを踏んで後退。いよいよ、本格的に攻撃してくるのだろうか。
グッと、腰を落として大赤見に視線を置く。
「まずは、お手並み拝見や──」
大赤見が、何もない場所でこっちに向かって大鎌をふるう。
紫色の、大きな波が出現。まるで衝撃波のようにこっちへと向かって来る。
こいつがどんな力を持っているか私はわからない。けれど、あの紫の液体から強い妖力をとても感じる。
とりあえず、防がないと──。
半透明に光る、氷の壁を出現。
以前、一人でいた時に考え付いた術式──。
いつも殴るだけだった私。そんな私に、守る力が欲しい。
守りたいものを守りたい──そんなことを考え開拓した術式。
いつも殴るだけだった私。そんな私に、守る力が欲しい。
守りたいものを守りたい──そんなことを考え開拓した術式。
氷結 三楯
──
そして、大赤見が放った攻撃が、私が作り出した氷の城壁に直撃。
私の城壁に大赤見の攻撃が直撃。
その瞬間──。
「な、何だこれは」
衝撃的な光景を目の当たりにする。
「おおっ、ワイの攻撃を防ぐとはな──大した奴や」
大赤見の放った攻撃は、私の氷の障壁に直撃。互いの力が強くぶつかる。
ジュゥゥゥゥ──という音と共に、氷の壁を溶かし始めたのだ。
しかし、こっちも負けるわけにはいかない。全力で妖力を体からかき集めて、攻撃を防いだ。
「ほう──ようやるのう」
いきなり、ここまでの攻撃。かなり手ごわい存在だとわかる。
毒に関する妖力を使うというのは間違いない。
それなら、こいつは遠距離から戦うのが得意なのだろうか──。
それならば、接近戦だ。私もあまり得意ではないけれど、行くしかない。
大きくジャンプをして、氷の城壁を飛び降りると、一気に大赤見に突っ込んでいく。
「おおっ、あの攻撃を見て接近戦では勝てないと踏んだか。じゃがのう──」
突っ込んだ先の、大赤見が持っていた鎌が強く光り出す」
「ワイの攻撃は、簡単には通さへんで」
私は突っ込んでから、妖扇を振りかざして何度も攻撃を仕掛ける。
大赤見は私に対して、攻撃を寸分の狂いなく防いでいく。
「ふむふむ、太刀筋やセンス、攻撃の速さはそれなりのあるのう。大した奴やで」
「こいつ……」
何とか突破しようと連続攻撃を繰り出すが、どれも弾かれ──大赤見の毒に溶かされてしまい有効打にはならない。
大赤見は、攻撃をいなしながら私に言ってくる。
「しかし、まだまだ基礎がなっとらんな。あんさん、あまり戦い方とかなっとらんタイプやろ」
「だからどうした」
確かに、大赤見の言うとおりだ。私は──激戦を勝ち抜いた経験がない。
今までは知能がない妖怪ばかりを相手にしてきた。だから初めて人間の知能を持った半妖相手に苦しんでいる。それでも、負けるわけにはいかない。
再び、大赤見に向かって行く。
大赤見は、一度大鎌をこっちへ向けてから宣言する。
「じゃあ、あんさんのお手並みも拝見させてもろうたし、反撃に出させてもらうねん」
そして、大赤見は一気にこっちへ向かってきた。
接近してきた大赤見はこっちに向かってきて、一気に大鎌を振り下ろしてくる。
私は後方にバックステップをとったり、対応しながら攻撃を何とか受け流す。
けど──パワーも早さもけた違いに強い。何とか反撃に出たいけれど──だめだ……。
今の私では、攻撃を返すのに手いっぱい……。
「ほれほれ、どうした。そんな攻撃じゃあワイには効かへんよ」
大赤見の余裕そうな表情。
その表情は、ハッタリでも何も考えていなく適当に考えているわけでもない。それもかなり強力な類のものだ。
「力任せに突っ込んでも、ワイにはかすり傷一つ──おわせへんよ」
余裕ぶった大赤見。私は何度も切りかかる。何度止められても、行くしかない。
今私がぶつけられる最高の力を、ぶつける。
「それなら、これはどうだ!」
薙ぎ払い、振り下ろし──悔しいが、私の攻撃が大赤見に届くことはなかった。
悔しくて、思わず歯ぎしりをしてしまう。
「じゃあ、今度はワイのターンやで」
大赤見は余裕を持っているのがわかる。
私とは、対照的だ。こいつ……絶対に泡を吹かせてやる!
今度は、大赤見が反撃に出てくる。
瘴気──
叫んだ瞬間、紫色に光る液体が大赤見の周囲に出現。
そして、それらは拳サイズの塊となって私に襲ってくる。それと同時に、大赤見がこっちに向かって来る。
拳大の毒とこいつの攻撃を同時にかわさなきゃいけないのか──。
かなり厄介だが、やるしかない。
ごくりと息を飲んで、覚悟を決める。
「ほれほれい~~かわしてみいや!!」
大赤見は突っ込んできた後、何度も大鎌をふるってきた。
それだけじゃない、私が応戦しなきゃいけにタイミングを見計らって、毒の塊が突っ込んでくる。
くるりと体を反転させ、攻撃をギリギリかわした瞬間に毒の塊が襲い掛かってくる。
かわし切れずに、肩のあたりをかすってしまった。
数ミリかすっただけで、体が強烈に痛い。
それどころか、傷口が緑色に腐食していくのがわかる。慌ててその辺りを切り落として、その部分の肉をその場に捨てる。
「ほれほれ、よそ見はあかんて!」
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